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2011年10月

基本財産について

基本財産を定款に定めなければいけないと考えていらっしゃる方が少なくないようです。

基本財産とは、目的事業にとって不可欠な財産として定款で定める財産をいいます。新制度においては、基本財産を定めなければならないものではありません。基本財産を定めた場合、定款で定める方法により理事はこれを維持し、目的を妨げるような処分を行ってはならないとされています(法人法172条2項)。また、基本財産の滅失により法人の目的事業が不能となると、法人の解散原因となります(法人法202条1項3号)。

このように、基本財産は定めなければならないものではなく、定款に定めることにより、様々な制限もかかりますので、基本財産の要件と効果を見定めた上で、定款で基本財産を定める必要があります。基本財産を定めた場合、貸借対照表の資産の部において基本財産として計上します。

なお、新制度においては、社団の基本財産に関する規定はありません。現在の定款の定めは、移行後も引き続き効力を持つものと考えられます。この場合、貸借対照表には、資産の部の基本財産として計上します

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社員提案権

移行後の法人の社員・評議員は,一定の場合に社員総会・評議員会の議題の提案をすることができます。今回はこれらについて見ていきたいと思います。なお,ここでいう「一般社団法人」「一般財団法人」は公益法人も含むものとします。

1 理事会を設置していない一般社団法人
理事会を設置していない法人の社員は,各自,理事に対し,一定の事項を社員総会の目的(以下,「議題」といいます。)とすることを請求することができます(法人法43条1項)。
議題としては,例えば「理事選任の件」などが挙げられます。
議題に関する具体的提案が議案であり,例えば,「理事選任の件」という議題に対して「甲を理事に選任する件」などと内容を提案するのがこれに当たります。
理事会を設置していない一般社団法人では,議題提案の期間が限られていません。

2 理事会設置一般社団法人
理事会を設置している法人の社員は,総社員の議決権の30分の1以上の議決権を有する社員に限り,理事に対し,一定の事項を議題とすることを請求することができます(法人法43条2項前段)。
総社員の議決権の30分の1の議決権を有する社員とは,単独で30分の1以上の議決権を有する社員に限られません。複数の社員が共同で提案をする場合,合わせて30分の1になれば請求をすることができます。
例えば,60人の社員が1つずつ議決権を持っている法人で,各社員は,単独では総社員の60分の1の議決権しかないため議題の提案ができませんが,二人が共同提案すれば総社員の議決権の30分の1を有することになり,議題を提案することができるようになります。
なお,定款で30分の1を下回る割合を定めることもできます。
提案できる期間は原則として社員総会の日の6週間前までですが,定款の定めにより提案できる期間を延ばすことができます(法人法43条2項後段)。

3 一般財団法人
一般財団法人では,各評議員が,理事に対し,一定の事項を議題とすることを請求できます(法人法184条)。
提案できる期間は原則として評議員会の日の4週間前までですが,定款の定めにより提案できる期間を延ばすことができます。

4 違反の効果
議題の提案は社員の権利ですので,これを無視することは違法であり,100万円以下の過料が課されます(法人法342条10号)。

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法人であることの意味

このたびの公益法人改革を機に法人ではなく任意団体として存続することを選ばれた団体もあるやに聞いております。そこで今回は任意団体ではなく法人として存続するメリットはどこにあるのか検討してみたいと思います。

団体なり財産が法人格を取得するメリットは大きくいいまして2つございます。

1つは,法人格を取得すると法人の構成員とは切り離された法人名義での銀行口座の開設や不動産などの財産の登記等が可能になり対外的な権利義務関係を明確にすることができます。これはどういうことかといいますと,代表者や構成員の名義のままではこれらのものが死亡したり交替した場合にその都度名義の書き換えをする必要が生じてしまいますが,法人格を取得するとそのような煩雑な手続きがいらないということを意味しています。また,法人名義で財産を持てないということになりますと任意団体の固有財産と代表者や構成員の個人財産との区別が不明瞭になりやすくなってしまい,代表者や構成員間などで内紛が生じた場合に争いが深刻化しかねないという問題が生じてまいります。法人格を取得すればこのような紛争のリスクを未然に防止することが可能となります。

もう一つは,法人格を取得すると法人の存在が登記によって公示されることにより,代表者の資格の確認方法も明確になり,法人と取引関係に立つ第三者の保護を図ることができます。それが登記のない団体ですと,代表者の資格の確認方法が一義的でなく,相手方にとって団体との取引であるのか代表者個人との取引であるのか不分明となるおそれがあり,そのようなおそれは任意団体の経済活動を委縮させることにもつながりかねません。

このように法人格を取得すると,事務手続きの効率化や経済活動の円滑化が図れるというメリットを享受できます。

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平成23年9月の全国申請状況が発表されました

10月3日に公益インフォメーションのHPで平成23年9月末の全国申請状況が発表されました。

これによりますと、申請数が飛躍的に増加し、9月になって累積申請件数が5000件を超えました(5164件)。このうち、公益法人への認定申請件数の内訳は3337件、一般法人への認可申請件数の内訳が1685件です。

「公益認定等委員会だより(その7)」でも発表されているように、平成24年4月1日の登記を目標に今年後半の申請が伸びていると言えます。ただ、それでもまだ約7割の法人の申請が残っています。申請数が今まで以上に急増でもしない限り、申請は移行期限の平成25年に集中することになりそうです

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合併の手続きについて

いわゆる公益法人制度改革3法が施行される平成20年12月1日から移行期間の満了する平成25年11月30日までの5年間、特例社団法人と特例財団法人の合併が可能となっています。特例民法法人合併の制度の活用によって、単独では移行の認定や認可を受けることが困難な特例民法法人が、合併により財政的基盤などを整え、円滑に移行することが可能になります。

特例民法法人合併の手続の流れは、

 ①吸収合併契約の締結

 ②吸収合併契約書備置、

 ③社員総会(評議員会)特別決議による吸収合併契約の承認(整備法67条1項~3項)

 ④主務官庁への認可申請(整備法69条)

 ⑤主務官庁の認可

 ⑥財産目録等の作成、備置(整備法70条2項)

 ⑦債権者異議手続(整備法70条4項)

 ⑧吸収合併登記(整備法72条1項)

 ⑨合併前、合併後の旧主務官庁への届出(整備法72条2項)

となります。

②の合併契約書備置は、③の社員総会又は評議員会の2週間前に行う必要があります(法人法246条2項)。また、⑤の主務官庁による認可の通知から、2週間以内に、⑥の財産目録等の作成をしなければなりません(整備法70条2項)。⑦の債権者異議手続は、2箇月を下ることはできない、とされています(整備法70条4項ただし書)。さらに、⑦の債権者異議手続で行われる公告・催告の完了日から2週間以内に、⑧吸収合併の登記をし(法人法306条1項)、この登記をもって合併の効力が発生します(整備法72条1項)。

このように合併の方法、スケジューリング等については、条文が複雑に入り組んでいます。ただ、適格合併の要件を満たせば税金がかからない等のメリットもありますので、法律専門家を利用してみて下さい。

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退任登記と役員責任

今回は,理事が退任した後,退任の登記がなされなかったとき,登記簿上の「理事」である元理事が役員責任を負うかについて取り上げたいと思います。

法人法299条2項は,「故意または過失によって不実の事項を登記した者は,その事項が不実であることをもって善意の第三者に対抗することができない」としています。
これは,法人が,故意に,あるいは過失によって,事実に反する事項を登記したとき,登記された事項が事実に反すると知らないで法人と取引関係等に入った人に対し,「その登記は間違いで,真実はこうだ」と主張できなくなることを意味します。

それでは,退任した理事について,退任していないかのような登記が残っているとき,その元理事は第三者に登記が間違っていることを主張できなくなるでしょうか?
この点,退任登記をすべきは法人の現経営者であり,退任した理事には法人の登記をする権限がないので,退任後の理事に無条件に責任追及できるとすると,退任後の理事に助かる道がないことになってしまいます。

判例は,株式会社の取締役を辞任した者は,原則として第三者に対する任務懈怠責任(法人法では117条1項に当たる。)を負わないが,①辞任したにもかかわらず積極的に取締役として対外的又は内部的な行為をあえてした場合,②取締役を辞任した者が登記申請権者である会社の代表者に対し,辞任登記を申請しないで不実の登記を残すことについて明示的に承諾していたなどの特段の事情のあるときに,退任後の取締役が責任を負うとしています(最判昭和62年4月16日)。

この点に関して,法人法と会社法にはほぼ同一の規定がおかれており,一般法人・公益法人でも同様に考えることができると思われます。
したがって,退任後の理事は,あえて理事としてふるまった場合や,自分が理事である旨の登記を残すことに承諾するなどの事情のない限り,退任後の事件等について責任を負う可能性は低いと考えられます。

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