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退任登記と役員責任

今回は,理事が退任した後,退任の登記がなされなかったとき,登記簿上の「理事」である元理事が役員責任を負うかについて取り上げたいと思います。

法人法299条2項は,「故意または過失によって不実の事項を登記した者は,その事項が不実であることをもって善意の第三者に対抗することができない」としています。
これは,法人が,故意に,あるいは過失によって,事実に反する事項を登記したとき,登記された事項が事実に反すると知らないで法人と取引関係等に入った人に対し,「その登記は間違いで,真実はこうだ」と主張できなくなることを意味します。

それでは,退任した理事について,退任していないかのような登記が残っているとき,その元理事は第三者に登記が間違っていることを主張できなくなるでしょうか?
この点,退任登記をすべきは法人の現経営者であり,退任した理事には法人の登記をする権限がないので,退任後の理事に無条件に責任追及できるとすると,退任後の理事に助かる道がないことになってしまいます。

判例は,株式会社の取締役を辞任した者は,原則として第三者に対する任務懈怠責任(法人法では117条1項に当たる。)を負わないが,①辞任したにもかかわらず積極的に取締役として対外的又は内部的な行為をあえてした場合,②取締役を辞任した者が登記申請権者である会社の代表者に対し,辞任登記を申請しないで不実の登記を残すことについて明示的に承諾していたなどの特段の事情のあるときに,退任後の取締役が責任を負うとしています(最判昭和62年4月16日)。

この点に関して,法人法と会社法にはほぼ同一の規定がおかれており,一般法人・公益法人でも同様に考えることができると思われます。
したがって,退任後の理事は,あえて理事としてふるまった場合や,自分が理事である旨の登記を残すことに承諾するなどの事情のない限り,退任後の事件等について責任を負う可能性は低いと考えられます。

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