« 2011年10月 | トップページ | 2011年12月 »

2011年11月

月曜シリーズ 評議員と評議員会 その4 評議員会での説明義務の例外

1 原則

 評議員会においては,評議員の議決権行使の判断材料となる情報を確保するため,理事及び監事に,評議員から説明を求められた事項について説明する義務が課されています(法人法190条)。

2 例外
 しかしながら,現実には説明を求められても答えることが適切でない事項や,その場で答えることのできない事項もあります。
  そこで,この説明義務には,いくつかの例外が認められています。
 たとえば,説明を求められた事項が評議員会の目的である事項に関しないものである場合(法人法190条但書)や,当該事項の説明のために調査が必要となる場合(法人法施行規則59条1号本文)など,正当な理由がある場合 (法人法施行規則59条4号)には説明義務が免除されます。

3 例外の例外

 当該事項の説明のために調査が必要な場合であっても,評議員が評議員会より相当の期間前に説明を求める事項を法人に通知した場合や,必要な調査が著しく容易な場合には,説明が可能であるため,説明義務が免除されません(法人法施行規則59条1号イ,ロ)。

4 違反の効果

 説明義務に違反すると,決議の取消事由(法人法266条1項1号)になったり,役員が過料に処されたり(100万円以下。法人法342条11号)する場合があります。評議員から説明を求められた事項については,議決権行使に必要な程度の回答ができるよう準備するべきです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

月曜シリーズ 評議員と評議員会 その3 評議員の日常的な業務への関与 

1 評議員の本来の役割

 法人法上,評議員の役割としては,まずは評議員会の構成員として,役員の選解任(法人法177条,63条1項,176条)や定款変更(200条)といった法人の基本的事項の決定に参加することが挙げられます。
 また,各評議員の役割として,理事の行為の差止(法人法197条,88条),理事会による損害賠償責任免除についての異議(198条,114条4項),といったことも挙げられます。

2 日常的な業務の遂行への関与が認められるか

 ところで,評議員が上記の役割にとどまらず,日常的な業務の遂行に関与するようにすることは認められるでしょうか?
 この点,評議員は一般財団法人又はその子法人の理事,監事又は使用人を兼ねることができないとされています(173条2項)。
 したがって,評議員が理事や監事を兼任することはもちろん,「使用人」の立場で職務を遂行することも認められないことになります。
 では,法人と雇用関係にない評議員が「使用人」の立場に当たることはあるのでしょうか?
 法が評議員と役員や使用人の兼任を禁止した趣旨は,評議員が理事及び監事の選解任を通じて法人の業務を監督すべき立場にあるため,監督する者と監督される者の重複を避け,あるいは監督を行う者の独立性を確保して,十分な監督ができる体制を確保することにあると考えられます。
 そのため,法人と雇用契約を締結していなくとも,理事の指揮・命令下で業務を遂行する者は,広く「使用人」に該当すると解されます。
 そこで,このような立場から評議員が法人の日常的な業務の遂行に関与することは,法人法173条2項に反し,認められないと考えられます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

月曜シリーズ 評議員と評議員会 その2 評議員の選任方法

1.定款の必要的記載事項
評議員の選任の方法については、一般法人法には特段の規定が設けられておりません。どのような方法で評議員を選任するかは、公益または一般財団法人において任意に定款で定める必要があります(一般法人法153条1項8号)。

では、どうして定款で定める必要があるのでしょうか。
評議員は、公益ないし一般財団法人の運営が設立者の定めた目的に沿った適正なものとなっているかを監督する重要な立場にあります。従って評議員の選任の方法は、法人運営の基本となる重要な事項であって、設立者の意思に委ねること、すなわち定款において定めることが相当といえます。

2.理事ないし理事会から独立した選任
公益ないし一般財団法人の方で選任方法を任意に選べるとはいえ、理事又は理事会が評議員を選任することは禁止されています。このような方法を定款に定めたとしても法律的には無効です(一般法人法153条3項1号)。これは、被監督者が監督者を選任することとなってしまい、監督が不十分となってしまうおそれがあるからです。評議員の選任は、理事又は理事会から独立している必要があります。そのような趣旨からすれば後で述べます「評議員選定委員会」による選任の方法を選択した場合、同委員の選任においても、委員のすべてを理事又は理事会が特別の要件もなく自由に選任するといった定めを設けることは望ましくありません

3.選任の具体例
理事又は理事会による選任が許されないとした場合、評議員の選任の具体例としては、たとえば、①評議員会の決議による方法、②選任(及び解任)のための任意の機関を設ける方法、③外部の特定のものに委ねる方法などが考えられます。特に公益財団法人においては、内閣府公益認定等委員会は、より理事ないし理事会への監督が実効的に行われるよう(ガバナンスの観点から)、①においては理事の選任と同じように同じ評議員の関係者や同一の団体関係者が3分の1以内におさまるような選任を条件にすること、②においては法人の業務執行理事等から中立的な立場にある者が参加できるようにすることが望ましいとしており、このような方法以外の方法を定款で定めた場合にはその理由の説明を求めると明言しております(「移行認定又は移行認可の申請に当たって定款の変更の案を作成するに際し特に留意すべき事項について」(平成20年10月10日))。これは公益財団法人にふさわしい方法として認定等委員会が例示した方法にすぎず、理事ないし理事会への監督(ガバナンス)が働くのであればこれ以外の方法が許されないという趣旨ではありません。また、一般財団法人においても、規模や法人の性質等に応じてその法人に合った理事または理事会への監督(ガバナンス)は要求されておりますので、実質的に理事ないし理事会の完全なる影響下において評議員が選任されてしまうような選任方法は望ましくないということとなります。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

月曜シリーズ 評議員と評議員会 その1 評議員による理事の監督

先日(2011年9月16日)のブログで評議員の権限と選任について触れさせていただきましたが,今回は評議員による理事の監督について,旧民法下の「評議員」と比べつつ取り上げたいと思います。

1 位置づけ
ご存じの通り,一般財団法人においては,法定機関として,評議員会及びその構成員である評議員を設置しなければなりません(法人法170条1項,178条1項)。
旧民法の下でも,任意機関として,「評議員会」及びその構成員である「評議員」という機関が各財団法人におかれていました(公益法人の設立許可及び指導監督基準の運用指針)。

2 旧民法下の「評議員」「評議員会」
旧民法下の「評議員」「評議員会」には,理事及び監事の選任機関及び法人の重要事項の諮問機関としての役割が期待されていたものの,法律上,評議員に理事の監督のために何ができるかの規定がありませんでした。
また,評議員は理事会において選任することとされ,評議員と理事の兼任が禁止されていない(行政指導の対象となるにとどまる)など,理事からの独立性も不十分でした。

3 法人法の下での評議員及び評議員会
法人法の下では,評議員会に人事権(177条,63条,176条)が,評議員に理事の行為の差止め請求(法人法197条,88条)や代表訴訟の提起(264条2項1号等)が認められるなど,監督権限が明文化されています。
また,評議員の選解任の方法(153条1項8号,3項1号)や報酬等の額(196条)は定款に定める必要があり,理事の自由にならない点や,評議員と理事の兼任が禁止されている(173条2項)点など,理事からの独立性が図られています。

4 監督権限の強化と責任の強化
このように,現行法の下で評議員には強い監督権限と独立した地位が認められた反面,評議員が適切に監督権限を行使しない場合,法人や第三者が評議員の責任を追及することも可能となりました(法人法198条,111条1項,117条1項)。

法人のガバナンスにおいて,これまで以上に評議員の役割が重要になったといえます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2011年10月 | トップページ | 2011年12月 »