公益認定

公益認定等審議会

公益認定については,内閣府の公益認定等委員会ほかに都道府県にそれぞれ公益認定等審議会があり,それぞれが独立して公益性を認定することとなっています。ただ,公益認定という性質上,その考え方に大きなばらつきが生じるものではありませんので公益認定等審議会の示す考え方はそれぞれ参考となります。

例えば,神奈川県公益認定等審議会が示した見解として「外郭団体等の公益認定等に関する基本的考え方」があります。

ここでは外郭団体等についての経理的・技術的基礎(認定法5条2号)の存否についての考え方を中心とした同審議会の「メッセージ」が示されています。

同メッセージの内容としては,「申請法人の組織が,たとえば自治体等からの派遣職員のみで構成され,一定期間ごとに派遣社員が入れ替わるような法人においては,仮にノウハウの承継が可能であったとしても申請法人自らに人的資源があるとは言えず,技術的能力及び経理的基礎の具備に欠如しているものと判断せざるを得ない」との記載など,外郭団体等でない法人であっても,当てはまるのではないかと思われる部分が多く勉強になります。

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業界団体の公益性認定

法人の提供するサービスの直接の受益者が特定の業界の者になる場合,原則として,「不特定かつ多数の利益の増進に寄与するもの」とはいえないことになります。そのような事業は,公益目的事業ではなく共益事業と一般にいわれています。

しかし,サービスの直接の受益者が特定業界の者のみであったとしても,その業界の者を通じて不特定多数のものに利益を生んでいることが認められれば,例外的に公益目的事業であることが認められます。

もっともこの場合,当初から積極的に意図した上で生まれている必要があり,当初は意図していなかったものの結果的に不特定多数のものに利益が生じたというものでは駄目です。

たとえば,ある社会問題が発生し,その問題を解決するために早急に専門家の能力を高める必要がある場合に,この社会問題に直面している一般市民に利益を生むことを目的として業界の者にセミナー等の事業を行えば,直接の受益者が集まった業者の者だけであったとしても,公益目的事業性は認められるものと思われます。

反対に,そのような新たな社会問題の解決を目的ともせず,単なる専門家集団の宣伝と目される場合には,公益目的事業性は認められないことになります。

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「不当に高額」な報酬

公益法人認定法施行規則第3条によれば,公益法人の役員等の報酬等の基準として,①理事等の勤務形態に応じた報酬等の区分,②その額の算定方法,③支給の方法,④支給の形態について定める必要があるとされています。
このうち②報酬等の額については不当に高額なものとならないようなものでなくてはなりません(認定法5条13号)。
では,どのような定め方をすれば「不当に高額」とならないのでしょうか?
「不当に高額」に当たるかは,民間事業者の役員の報酬等及び従業員の給与,当該法人の経理の状況その他の事情を考慮して判断するとされており,どうすれば「不当に高額」とならないかは一概にいえません。
もっとも,人事院の発表する国家公務員の俸給表は,民間における賃金等を考慮して定められた(国家公務員法64条2項)ものであり,一つの参考になると考えられます。

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営利競合の場合の公益性認定

公益法人が行おうとする事業が,すでに民間でも行われている場合(営利競合),
① 公益法人になると税制面で優遇が得られるために、同じ事業を行う企業等との公平さが図れないのではないかという懸念があります。
② また,当該法人が市場に参入しなければならない社会的意義に乏しい(公益の「維持」といえても「増進」とはなかなかいいにくい。公益認定法2条4号ご参照。),といった問題点が指摘できます。

とはいえ,民間企業等がすでに行っている事業を公益法人として全く行えないというわけではありません。
たとえば,コンビニの事業です。
コンビニの事業はすでに民間でも行われている事業ですからこれを公益法人の事業としたい場合,営利競合の問題が生じます。多くのコンビニ業界の店舗がみられる都心でこれらの事業を行って,税制面での優遇を自分だけが得られるとしたら,公正な市場における競争は実現できなくなってしまいます。
でも,コンビニのような事業を採算のとれない過疎地域に限定して展開した場合はいかがでしょうか?社会的にも意義のある公益目的がみえてきませんか?すなわち,過疎地域における住民に対して食料を安定的に供給するといった,公益目的です。

このように,営利競合があるからといって,直ちに公益認定ができないというわけではありませんが,公益の「増進」といえるかを,民間営利企業とは異なった上記のような特殊性があるかによって判断する必要が生じてきます。もちろん,その特殊性には,社会的な意義が認められなければなりません。

また,営利競合の場合には,公益目的の条件をクリアしたとしても,また別の問題も生じてきます。収支相償の要件です。つまり,営利競合を生じさせる事業は民間営利企業が行っていることから,利益が出やすい事業と行政庁からみなされてしまいがちです。おそらく収支相償を満たしているかを他の公益法人の事業に比べて厳格にみられることになるものと思われます。この点については,たとえ上記のような過疎地域での活動を前提にしていたとしても,この要件をクリアしていることを示すに足る十分な資料(過疎の状況,消費状況等を示すものなど)を用意するなど申請にあたって注意が必要です。

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理事・監事の構成

 公益認定の要件の一つに,理事・監事の構成があります。
他の同一の団体(公益法人を除く)と一定の密接な関係にある理事(または監事)の合計数が理事(または監事)の総数の三分の一を超える場合,公益認定を受けることができません(認定法5条11号)。
 この基準は,公益法人が他の同一の団体の利益に基づいて運営がなされることを回避するためのものです。

 「他の同一の団体」に当たるかどうかは,人格,組織,規則などから同一性が認められる団体ごとに判断されます(ガイドライン)。基本的には法人格を同じくする単位で考えますが,国の機関の場合,当該法人の目的,事業との関係において利害を同じくする範囲が「他の同一の団体」に当たると考えられます。
 したがって,国の機関については,一般的には事務分掌の単位である省庁単位でしょうが,法人の目的,事業が国全般に関係する場合には国の機関全体で考えることとなります(FAQ問IV-2-①)。

 なお,認定法5条11号によれば「他の同一の団体」から「公益法人に準ずるもの」として政令で定めるものを除くこととされていますが,この「公益法人に準ずるもの」の定めは今のところありません(平成23年2月7日現在)。

 「密接な関係にある者」としては,当該他の同一の団体の理事以外の役員,業務を執行する社員,当該他の同一の団体が法人でない団体である場合の代表者または管理人,国の機関など一定の特殊な団体の職員が列挙されています(認定法施行令5条)。

 「合計数」は,「他の同一の団体と一定の密接な関係にある理事または監事」が複数いることを前提に,その合計数を問題とする趣旨です。したがって,監事が一人の場合や,監事が二人の場合に別の団体から一人ずつ監事を受け入れた場合は「合計数」が観念できないため,認定法5条11号の要件に違反することにならないとされています(FAQ問IV-2-②)。

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公益認定申請は「法令に基づく申請」(行政不服審査法2②・行政事件訴訟法3⑤)

行政庁(内閣総理大臣または都道府県知事)が公益認定申請を長期間にわたって放置した場合,
① 不作為の異議申立てを行政庁に行うこと,
② 不作為の違法確認訴訟を裁判所に提起すること,
③ ②に加えて認定を求める義務づけ訴訟を併合提起すること,
④ 不作為により生じた損害の賠償を,国家賠償法に基づいて,国または都道府県に請求すること,
ができます。

①②(+③)はいずれか一方のみを行うこともできますし,両方を並行して行うこともできます。
また,①を棄却する決定を行政庁が行った場合に②(+③)を提起することもできます。

①によって,不作為の違法を確認する決定がなされた場合,行政庁は異議申立てがあった翌日から起算して20日以内に,申請に対してなんらかの行為をしなければなりません。

②によって,不作為の違法を確認する判決が出された場合,その拘束力により行政庁はすみやかに何らかの処分をすることが義務づけられます。また,③を併合提起し,認定を行政庁に命ずる義務付け判決がなされた場合には,行政庁は認定をしなければなりません。

行政庁は,民間の有識者からなる合議制機関(公益認定等委員会等)が示す公益認定に関する意見に依拠して公益認定を行うのですが,申請に対する長期間の放置に対しては上記のような法的手段をとることが可能です。その意味で公益認定は法律上それを行うべきかどうかに加えて,それをいつ行うべきかについても,行政庁の自由裁量に基づくものとはいえず,最終的には裁判において相当な認定時期を守らせることができる法律問題といえるものです。

この点,行政庁には標準的な処理期間を定める努力義務が法律上課せられておりますが(努力義務ゆえ明確に定める義務まではございません),それがそのまま「相当な期間」といえるわけではありません。「相当な期間」がどうかは行政庁が定めた標準的な処理期間に加えて,さまざま要素を考慮したうえでの法律判断となります。なお,内閣府は公益認定について標準的な処理期間を具体的に定めているわけではありませんが,申請審査の平均所要日数は平成22年4月から同年7月のものでは102.2日となっております。

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公益認定は法律判断

行政庁(内閣総理大臣または都道府県知事)が公益認定拒否処分をした場合,
① 行政不服審査法に基づいてその取消しを求めること,
② 行政事件訴訟法に基づいてその取消しまたは無効等確認を求めること,
③ ②に加えて義務付け訴訟を併合して求めること(仮の義務づけを求めることも可能),
④ 国家賠償法に基づく損害賠償請求を行うこと,
ができます。

行政庁は,民間の有識者からなる合議制機関(公益認定等委員会等)が示す公益認定に関する意見に依拠して公益認定を行うのですが,その拒否処分に対しては上記のような法的手段をとることが可能です。その意味で公益認定は行政庁の自由裁量に基づくものではなく,最終的には裁判において決着をつけることができる法律判断といえるものです。

この点で,法律専門家である弁護士の活用は有用です。
依頼を受けた弁護士としては,法人の実態が公益認定法の基準を満たすものであることを,同法の解釈や証拠にもとづく事実認定(たとえば受益の効果が現実に社会全体に広く波及しているかどうかについてなど。神奈川県公益認定等審議会 平成22年8月26日答申書をご参照下さい。)を通して,裁判所等に主張していくことになります。

もっとも裁判を通じた解決は,あくまで最終的な手段であって,時間と費用,労力を要し,できれば避けたいものです。公益認定において疑義や不安がある場合には,あらかじめ申請の段階で法律専門家である弁護士を関与させ,公益認定等委員会等を説得していくことも考慮にいれておいた方がよいでしょう(なお特例民法法人については移行期間内であれば何度でも申請し直すことができます)。

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任意機関の設置

Q1
 社団法人に「委員会」を置くことはできますか?
A1
 一般法人法は、法定の機関以外の機関の設置を禁止していないので、法律に根拠のない任意機関を置くことは差し支えありません。
 ただし、当該機関の名称、構成及び権限を明確にし、法律上の機関である社員総会、理事会等の権限を奪うことのないように留意する必要があります(法35条第4項等参照、「留意事項」Ⅱ―2―①)。

Q2
 定款において、代表理事を「会長」のように通称名で記載することは許されますか?
A2
 法の名称とは異なる通称名や略称を定款に使用する場合には、「法律上の名称」と定款で使用する名称がどのような関係にあるのかを、定款上明確にする必要があります(「留意事項」Ⅱ-2-②)。
 【例】
   「第○条 この法人に次の役員を置く。
      (1) 理事 ○○名以上○○名以内
      (2) 幹事 ○○名以内
    2 理事のうち1名を会長とする。
    3 前項の会長をもって一般社団・法人法上の代表理事とする。」

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株式保有の制限


 公益法人認定法5条15号は、「他の団体の意思決定に関与することができる株式その他の内閣府令(認定法施行規則4条)で定める財産を保有していないものであること。但し、当該財産の保有によって他の団体の事業活動を実質的に支配するおそれがない場合として政令(認定法施行令7条)で定める場合は、この限りでない。」と定め、株式保有を制限する認定基準を設けています。
  これは、公益法人が株式等の保有を通じて営利法人等の事業を実質的に支配することにより、公益目的事業比率が50%以上という認定基準を潜脱することを防ぐために設けられたものです。
  そのため、「株主総会その他の団体の財務及び営業又は事業の方針を決定する機関における議決権の過半数を有していない場合」(認定法施行令7条)は、その株式の保有は制限されません。
 では、
 ある株式会社の議決権の過半数の株式を保有している場合にはどうしたらよいでしょうか?


  この点、公益認定等ガイドラインⅠ-14は、このような場合、「例えば無議決権株にするか議決権を含めて受託者に信託することにより、本基準を満たすことが可能である。」としています。
  このほか、①保有株の議決権を50%未満に減らすことや、これから持たなくてはいけない場合は、②転換社債や新株予約権(実行されない段階のみ)にすることが考えられます。

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財団のガバナンス~評議員の選任・解任(概要と定款について)

1 評議員の選任・解任方法は定款で定める

 評議員の選任方法及び解任方法については、任意に定款で定めることができます(必要的記載事項・一般法人法153条1項8号)。
 ただし、理事又は理事会が評議員を選任し、又は解任する旨を定款で定めることはできません(同法同条3項1号)。
 これは、評議員が適正な法人運営を確保するために業務執行を監督する機関であることから、その選任・解任については、監督される側の業務執行機関(理事・理事会)の意思ではなく、設立者の意思に委ねることとする趣旨です。

2 人選が偏らないような定款の定め方が必要

 ガバナンスにおいては、人選非常に重要な要素です。したがって、この評議員の選任方法及び解任方法を定款に定めるにあたっては、当該法人と相互に密接な関係にある者ばかりが評議員に選任されることがないような方法をとらなければなりません。
 「移行認定又は移行認可の申請に当たって定款の変更の案を作成するに際し特に留意すべき事項について(平成20年10月10日内閣府公益認定等委員会)」においては、
 ①「評議員の構成を公益法人認定法第5条第10号及び11号に準じたものにする」旨を 定める方法、
 ②評議員の選任及び解任をするための任意の機関として、中立的な立場にあるものが参加する機関を設置し、この期間の決定に従って評議員を選任及び解任する方法
 などが望ましいとされています。

3 維持審査で実態が審査される

 また、「留意事項」においては、これら①②の方法を選択したとしても、実際に選任された評議員の構成が特定の団体や勢力に対し特別の利益が与えられるおそれが高いものと認められる場合には、監督の対象となりうるとしています。
 つまり、認定後、1~3年後から始まる維持審査において、単に定款にどう定めているかのみならず、実際にどういう人選がなされたかという実態にまで審査が及ぶということです。その際には、当然、人選の点のみならず、評議員会が実際にどのように運営されているかという点(評議員の出席状況や、評議員への情報の伝達状況)なども審査されるはずです。

 公益財団法人は、いくら形式を整えても、実態が伴わなければ、維持審査で問題視され、最終的には認定取消しのおそれまで生じかねないことをよく理解しておく必要があります。

 次回は、申請段階における評議員選任のスケジュールについて述べたいと思います。

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