一般法人の組織・運営

一般法人移行後の監督

一般法人に移行した場合,行政庁からの監督は公益法人と比較して緩やかになると考えられています。確かに公益法人が3年に一度程度の立ち入り検査があるのと比較して,移行法人に対しては原則として立入検査は予定されていません。

しかし,公益目的支出計画が継続している限りにおいて,その計画の進捗状況は監督の対象となります。したがって,一定の場合には立入検査が行われます。

公益認定等委員会だよりによれば,以下の場合に立ち入り検査を実施することを明示していますので,少なくともこれらの点には留意が必要となります。

     正当な理由なく公益目的支出計画に従った支出を行わない場合

     各事業年度の支出が公益目的支出計画に定めた支出に比べて著しく少ない場合

     公益目的財産残高と比較して貸借対照表の純資産が著しく少ないにもかかわらず,公益目的支出計画の変更認可を受けずに将来の公益目的支出計画の実施に支障が生じる恐れがある場合

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一般法人における監事会の設置の可能性

一般法人法においては,会社法の監査役会に相当すると思われます「監事会」といったものの設置を想定した条文が設けられておりません(たとえば会社法では,328条1項において大会社(公開会社でないもの及び委員会設置会社を除く。)は、監査役会及び会計監査人を置かなければならないとされておりますが,一般法人法で大会社に匹敵すると思われる大規模一般社団/財団法人において会計監査人の設置義務しか規定されておりません(一般法人法62条/171条)。)。
これについては,一般的にいって公益法人や一般法人は営利追求を目的とした大会社ほど目的や事業が複雑ではないため,監査役会のような組織的監査が必要な場合が想定しにくいことを理由にこれを想定した条文を設けなかったのではないかと推測できます。ただ,特に禁止を明示した条文もないのですから,任意にこれを設置することは可能であると考えます。たとえば事業が多岐にわたっていて規模も大きい場合などに各監査役の役割分担を容易にしかつ情報の共有を可能にすることにより組織的・効率的監査を行いたいといったニーズがあるときには,各監事の独立性が確保されているのであれば,可能であるものと考えられます。

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非営利性の意味

一般法人・公益法人は非営利団体と呼ばれておりますが,非営利性とは一体どういうことなのでしょうか。非営利性が関係する場面としては大きく分けて二つございます。一つは,事業年度ごとの儲けを分配する①剰余金の分配で,もう一つは残余財産を社員で山分けする②残余財産の分配です。営利法人である株式会社では①②ともに法律によって保障されています。しかし一般法人・公益法人では①は法律によって禁止されています(一般法人法11条2項,153条3項2号)。もっとも,②については,公益法人においては法律で禁止されているものの(定款において国・地方公共団体等へ贈与する旨を定めなければ認定されません,公益認定法5条17号18号),一般法人につきましては定款にあらかじめ定めることは禁止されておりますが(一般法人法11条2項,153条3項2号),いざ解散という段階になれば社員総会又は評議員の決議によって分配することは許容されています(一般法人法239条2項)。ただし,法人税法上の概念であるいわゆる「非営利性が徹底された法人」については公益法人と同じ扱いとなっておりますので注意が必要です。以上からいたしますと,非営利性とは①の禁止を基本的には意味し,これを徹底すると②まで禁止されるととらえることができると思います。

そうしますと非営利性の概念にはがあるということになりそうですが,そこには財団・社団のもつ「公益性・公共性」の強さと関係あることが想定されます。

この点につきまして法人への出資の返還につきましてその額について争われました最判平成22年4月8日(判例時報2085号90頁)が参考になります。同判決では,定款で退社時の財産に社員の出資割合を乗じた額の返還を請求できる旨の定めがあった事案において,財産の変動に果たした役割と法人の「公益性・公共性」の観点からしてあまりに多額の返還は権利の濫用として許されないと判示されています。①②が問題になった事案ではないですが,法人の財産を社員に分配することができるか否かという非営利性の問題を考える上で参考になります。

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内部統制(4)~「使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制」

1.はじめに

今回は,法人の業務の適正を確保するために必要とされる「使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制」(法人法施行規則14条4号)についてお伝えします。

2.内容

ここにいう体制とは,法人の事業活動について適用される法令の割り出し,発生する可能性のある法令・定款違反行為の把握やその防止のための体制をいい,コンプライアンス担当の職員・部署等の設置や,倫理規程・各種業務に関する規程などによる行動規範の制定,内部通報体制の整備などが該当します。

3.役員責任への影響

内部統制に当たって使用人の職務執行の適法性を確保することは極めて重要であり,また役員責任の存否の判断にも大きく影響してきます。

部署の設置や規程の整備も重要ですが,単に規程を作って終わりではなく,継続的に法令や職務の執行状況をチェックしていくことも重要です。

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平成23年東北地方太平洋沖地震関係での質問事項の追加についてのお知らせ

今回の地震に関連して,事務処理上の疑問が生じている法人も多いかと思います。
内閣府では,法人の疑問に対して「よくある誤解」にて回答をしていますのでご紹介します。

またこのほかにも,「公益認定等委員会委員長からのメッセージ」において,池田委員長は,公益法人の専門的知見や経験,財産を生かした復興に期待するという趣旨のメッセージと共に,「被災地支援や震災復興に役立つ形での寄付やさまざまな活動を行うために手続きが必要な場合には,積極的に協力させていただく」と表明しております。

現在の事業内容からすると支援は困難なことから,法人の活動として復興支援をすることを断念している法人でも活動内容によっては,これが可能となる場合もあります(「よくある誤解【質問1】参照)ので,ご興味ある方は下記リンクをご参照ください。

公益法人インフォメーション
「よくある誤解」へのリンク
https://www.koeki-info.go.jp/pictis_portal/common/index.do?contentsKind=110&gyouseiNo=00&contentsNo=00606&syousaiUp=0&procNo=contentsdisp&renNo=1&contentsType=02&houjinSerNo=undefined&oshiraseNo=undefined&bunNo=0&meiNo=0&seiriNo=undefined&edaNo=undefined&iinkaiNo=undefined&topFlg=0
「東北地方太平洋沖地震に関する公益認定等委員会委員長からのメッセージ」へのリンク
https://www.koeki-info.go.jp/pictis_portal/common/index.do?contentsKind=120&gyouseiNo=00&contentsNo=00009&syousaiUp=1&procNo=contentsdisp&renNo=1&contentsType=02&houjinSerNo=&oshiraseNo=&bunNo=1120113132&meiNo=1120123486&seiriNo=&edaNo=167&iinkaiNo=undefined&topFlg=0

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東北地方太平洋沖地震の影響に伴う社員総会の開催時期について

 東北地方太平洋沖地震の影響に伴う社員総会の開催時期に関して,先日も当ブログでお知らせしました。

 その後,法務省のホームページにおいて,会社法における「定時株主総会の開催時期に関する定款の定めについて」とのお知らせが掲載されています。

 同ページでは,特定の時期に定時株主総会を開催すべき旨の定款の定めがあったとしても,そのような定めは「通常,天災等のような極めて特殊な事情によりその時期に定時株主総会を開催することができない状況が生じた場合にまで形式的・画一的に適用してその時期に定時株主総会を開催しなければならないものとする趣旨ではない」とされています。
 定款に社員総会の開催時期が規定されている場合についても,同様に考えられます。
 上記法務省の見解を前提とした場合には,事業年度の終了後一定の時期に定時社員総会を開催すれば足り,その時期が定款所定の時期よりも後になったとしても,定款に違反することにはならない,と解することができます。

(参考:定時株主総会の開催時期に関する定款の定めについて(法務省サイト内)
http://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/saigai0012.html )

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理事会運営規則を作成することの意味

1.理事会運営規則とは何か
 理事会とは,すべての理事によって組織された会議体で(法人法90条1項),法人の業務の執行の決定や,理事の職務の執行を監督します(同2項)。
 理事会運営規則とは,理事会の運営に関する規則のことをいい,多くの場合理事会が自ら制定します。理事会運営規則を予め定めておくことで,理事会の運営が効率的になり,ひいては法人の業務執行を円滑にすることができます。

2.なぜ理事会運営規則を定めるのか
 では,なぜ理事会運営規則に記載するような内容を,定款に定めないのでしょうか。
確かに,定款において理事会の運営に関する事項を規定しておくことも考えられます。
しかし,定款の変更をするための社員決議は,総社員の半数以上で,総社員の議決権の3分の2(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては,その割合)以上に当たる多数をもって行う必要があり,その要件が厳格です(法人法146条,49条2項4号)。そのため,理事会の運営方法について,全て定款で定めておくと,運営方法の変更を困難にしてしまいます。
そもそも,理事会の運営については,その決定権限が理事会自身にあります。そうであるならば,その運営上のルールも理事会自身が決めることが本来的です。加えて,規定の形にまとめて整理することで,理事会の運営のルールが明確となります。
したがって,理事会の運営については,理事会によって定められた理事会運営規則等に規定することが望ましいものと考えられます。

3.理事会規則の策定
  以上のように,理事会の運営の効率化及び法人の業務執行の円滑化のために,理事会運営規則を定めるのが望ましいでしょう。どのような規定を置くかは,法人の実態にあわせて考える必要があります。
  理事会運営規則の規定等にお悩みの方がいらっしゃいましたら,是非,当事務所までご相談ください。

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社員総会の議事録

1.議事録作成の必要性と機能
  一般法人・公益法人に移行後の社団法人は,社員総会で議事を行った際に,議事録を作成する必要があります(法人法57条)。
社員総会の議事録とは,社員総会の議事の経過の要領や議決内容を記録した書面です。
このような議事録が作成されるのは,後で社員総会の決議の効力が争われた場合の重要な証拠となるからです。また,社員総会議事録は,一定の場合には,登記申請における添付書類ともなります。

2.議事録への署名又は記名押印の要否
  ところで,社員総会議事録について,出席理事等の署名又は記名押印が必要なのでしょうか。
  社員総会議事録の署名・押印の要否及び主体については,理事会の議事録の場合と異なり(法人法95条3項参照),規定がありません。
  これは,社員総会議事録に対する出席理事等による署名又は記名押印がなされたとしても,理事会議事録の場合とは異なり,法的な意味がない(法人法95条5項参照)ことから,規定が置かれなかったものと考えられます。
すなわち,社員総会議事録に署名や記名押印がなされるのは,その議事録の真正性を担保するためであるところ,社員総会議事録に署名や記名押印をすることで,偽造や真正性の問題が解消されるかは,理事会の場合とは異なり,程度問題にすぎないからです。
  したがって,社員総会議事録について,出席理事等の署名又は記名押印は,法律上は必要でないと考えられます。

3.新法下での対応
  このように,社員総会に出席した理事が記名押印しなかったとしても,議事録の効力には影響はないと考えられます。
  しかし,社員総会議事録が,社員総会の議事の経過の要領や議決内容を立証する証拠として重要であり,その保全の必要性が認められることからすれば,社員総会議事録に署名または記名押印がなされることが(特に法人の運営者である理事の方にとって),望ましいものといえます。
そこで,社団法人の定款において「〔社員総会の〕議長及び出席した理事は、前項の議事録に記名押印する。」などと規定し,議長や理事の記名押印を確保することが考えられます。

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監事の地位と責任

 特例民法法人から,公益法人・一般法人に移行する場合に,一見すると,監事の権限や地位に大きな変容がないようにも考えられます。
 しかし,一般法人法においては,監事の権能や義務等について,実は詳細な定めが置かれています。 例えば,一般法人法においては,計算書類及び事業報告等について,監事は監査することとされています(法人法124条1項2項)。この規定自体は,整備法61条1項2項の規定と一見すると似ています。しかし,一般法人法の規定では,監査の内容について「法務省令で定めるところにより」と委任がなされており,具体的な監査の内容等については,法務省令において詳しく定められています(施行規則35条~46条)。
 このように,監事は,法人の役員として,法人の運営が適正に行われるための必要な職責を担います。したがって,監事として選任する者には,一定の能力が必要と解されています。
 具体的には,
 ⅰ 法人の業務運営に一定の知見を有し,業務監査能力を備えている
 ⅱ 会計制度に一定の知見を有し,計算書類の監査能力を備えている。
 ⅲ 関係法令に一定の知見を有し,理事(会)の職務の執行(決定)等が法令に違反しないよう監視できる能力を備えている
ことが望ましいものとされています(FAQⅡ-1-③)。
 また,公益法人においては,監事に経理的基礎・技術的能力がある者を置くことが推奨されています(FAQⅤ-1-②)。
 公益法人・一般法人では,監事は様々な権能を有し,義務を負うことから,適切な能力を有する者が監事になるべく,法人においては監事の選任が重要となります。

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移行と合併

旧民法の下では,公益法人に合併の制度はありませんでした。
しかし,法人法の改正により,公益法人を含む一般法人に合併の道が開かれ(法人法第五章,認定法第二章第二節第四款),特例民法法人にも合併の道が開かれることになりました(整備法66条~)。
したがって,特例民法法人が,移行認定を受けるために,合併によって公益目的事業比率を高めることや財政基盤を整えることが可能となりました(FAQIII-2-①参照)。
しかし,特例民法法人の合併では,吸収合併はできますが,移行後の法人と異なり新設合併をすることができません。
また,特例民法法人同士の合併や,移行後の法人同士の合併の制度はありますが,特例民法法人と移行後の法人との合併を認めた規定はありません(整備法66条1項,法人法242条)。
したがって,特例民法法人が他の法人との合併を考えている場合,合併の相手方となる法人と連絡をとるなどして,互いの移行の時期を調整しなければなりません。
これ以外にも,合併に当たってはいろいろな問題が生じますので,専門家の関与がなければ円滑に合併を行うことは難しいでしょう。

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