機関

理事会決議の手続に瑕疵があった場合

これまでの民法法人において,法律上,理事会は制度化されておらず,法人が任意機関として理事会を設置することがあるにとどまっていました。
しかし,現在の法人制度の下では,理事会が法律上の機関となり(法人法60条2項),理事会決議の手続に関連して、理事会招集や決議の方法等が法定されました(93条等)。

では,上記手続に違法があった場合,決議の効力はどうなるでしょうか?
この点,会社法では,取締役会の決議の手続に瑕疵がある場合については,取消の訴えを経ることなく,誰から誰に対しても無効を主張できるものとされています。

ただし,軽微な手続上の瑕疵によっても当然に決議が無効となるわけではありません。例えば、手続上の瑕疵の一例として招集通知もれがありますが、一部の取締役に対する招集通知を欠いた場合にも,その取締役が出席してもなお決議の結果に影響がないと認めるべき特段の事情があるときは、当該瑕疵により決議は無効とならないとする判例もあります(最判昭和44年12月2日民集23巻12号2396頁)。

一般法人においても,理事会の手続に瑕疵がある場合,その理事会の決議を前提とする法律関係が不安定になると考えられますので,通知漏れ等手続的瑕疵がないようにご注意ください。

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特例民法法人における無報酬役員に対する謝金等の調査結果について

例えば原則無報酬と定款で定めている場合,一方で,固定給はないが理事会に出席した場合には,一定の報酬を支払うという運用にする場合には,前記原則無報酬とする定款の定めに反します。したがってこのような運用をしたい場合には,その旨を定款に明示しておく必要があります。

「特例民法法人おける無報酬役員に対する謝金等の調査結果について」という内閣府の文書によれば無報酬としながら実際には多額の報酬を支払っていた法人について実名をあげ,他の法人に対する注意喚起をしています。

新制度になり役員報酬の定め方については,法律や内閣府FAQなどにルールが示されるようになり,法人においても従前よりも慎重な態度さが求められます。

特に公益法人の場合には報酬基準を定めこれを公表しなければなりません。額の多寡に関わらず,基準に反する支払いはできないことになります。役員等に金銭を支払う場合には何に基づくのか,事実上の支払理由はもちろんですが,規程上の根拠にも常に留意をする必要があるでしょう。

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理事の選任と就任

 役員には選任と就任という概念があります。

選任と就任は似たイメージではありますが,役員の任期との関係ではその区別が必要となります。

 すなわち,理事の任期について一般法人法は「選任後二年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時社員総会の終結の時まで」としており,「就任後」とはなっていません。そのため,任期の計算をする場合には,社員総会において選任をした時を基準とすることになります。

 

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社員総会等の運営

先週の7日(火)に行いました当所主催のセミナーにはおよそ80の法人様に参加いただくことができました。お忙しい中これだけの数の法人様に集まっていただいて,非常に感謝いたします。一方で,法人様が社員総会や理事会,評議員会の運営というあまりこれまで取り上げてこなかったテーマにも興味を示しておられることを実感いたしました。

確かに申請関連の情報は移行期限も近づいてきたこともあって目に触れることが多くなってまいりましたが,その運営について触れた本や情報はあまりないのではないでしょうか。基本的には社団と財団の運営は会社法の規律を参考にしてつくられた「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」によって規律されていますので,機関の運営につきましてもこれまでの会社法実務が非常に参考になるかとは思います。しかしながら,やはり会社と一般法人・社団法人の間には営利性の有無など本質的な差異も存在しております。ですから,細かいところでは解釈が異なってきて運用面においても異なった扱いが求められてくる可能性があります。

具体例につきましては,本ブログにて順次ご紹介していきたいと思います。

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役員・代表理事の補欠選任について

 理事及び監事については、欠員が生じた場合に備えて補欠を選任しておくことができます(法人法63条2項、177条)。評議員についても、定款でその方法について定めを設けることによって(法人153条1項8号参照)補欠を選任しておくことも可能です。

 一方、代表理事に事故があった場合、代表理事があらかじめ定める順番で他の代表理事でない理事に職務を代行させることはできません。これは、理事会の代表理事の選定権限を奪い、将来の代表理事の選定を代表理事が行うことを許容するものとなるからです(留意事項Ⅱ-7の注3)

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内部統制(2)~「理事の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制」

1.はじめに
 昨日のブログでも,「一般社団法人の業務の適正を確保するために必要な」体制について触れさせて頂きました。
 このようないわゆる内部統制システムについては,「構築」「整備」「運用」の3つが必要とされています。
 「構築」とは,組織を作り人員を配置しマニュアル等の文書等を準備すること,です。
 「整備」とは,内部統制をデザインし,実施してもらうこと(業務へ適用すること)です。
 「運用」とは,コントロールが実際に機能していることを言います。

2.「理事の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制」
 今日は,「理事の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制」(法人法施行規則14条3号)について触れようと思います。
 同号の体制は,法人の運営のシステム面及び運営のプロセス面の双方において,職務の執行が効率的に行われることを意味します。
 具体的には,理事会運営規則や理事会付議基準を定め,それに従った理事会運営をしていることのほか,定例理事会の開催や,理事の職務分担理事会以外の重要な使用人の出席する会議の開催がなされていること等がこれにあたるものと考えられます。

3.オーダーメイドな体制の整備を!
  具体的にどのような体制を定めるかは,法人の規模や事業内容等によります。したがって,法人毎の実態に合わせた体制の整備をしていく必要があります。単に他の法人を真似するのではなく,オーダーメイドな体制の整備をしていくことが重要です。

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監事の地位と責任

 特例民法法人から,公益法人・一般法人に移行する場合に,一見すると,監事の権限や地位に大きな変容がないようにも考えられます。
 しかし,一般法人法においては,監事の権能や義務等について,実は詳細な定めが置かれています。 例えば,一般法人法においては,計算書類及び事業報告等について,監事は監査することとされています(法人法124条1項2項)。この規定自体は,整備法61条1項2項の規定と一見すると似ています。しかし,一般法人法の規定では,監査の内容について「法務省令で定めるところにより」と委任がなされており,具体的な監査の内容等については,法務省令において詳しく定められています(施行規則35条~46条)。
 このように,監事は,法人の役員として,法人の運営が適正に行われるための必要な職責を担います。したがって,監事として選任する者には,一定の能力が必要と解されています。
 具体的には,
 ⅰ 法人の業務運営に一定の知見を有し,業務監査能力を備えている
 ⅱ 会計制度に一定の知見を有し,計算書類の監査能力を備えている。
 ⅲ 関係法令に一定の知見を有し,理事(会)の職務の執行(決定)等が法令に違反しないよう監視できる能力を備えている
ことが望ましいものとされています(FAQⅡ-1-③)。
 また,公益法人においては,監事に経理的基礎・技術的能力がある者を置くことが推奨されています(FAQⅤ-1-②)。
 公益法人・一般法人では,監事は様々な権能を有し,義務を負うことから,適切な能力を有する者が監事になるべく,法人においては監事の選任が重要となります。

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財団法人の機関設計

一般法人法・公益認定法では,法人の選択出来る機関設計が定められています。今回は,財団法人の機関設計について,概観してみます。

一般財団法人については,
①一般財団法人には,評議員,評議員会,理事,理事会および監事を置かなければならない(一般法人法170条1項)
②定款の定めによって,会計監査人を置くことができる(同170条2項)
③大規模一般財団法人は,会計監査人を置かなければならない(同法171条)
とされています。
 大規模な一般財団法人とは,最終事業年度の貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が200億円以上の一般社団法人のことを言います(一般法人法2条3号)。

他方で,公益財団法人については,
①公益財団法人には,評議員,評議員会,理事,理事会,監事および会計監査人を置かなければならない(一般法人法170条1項,公益認定法5条12号)
②大規模な公益財団法人である場合には,会計監査人を置かなければならない(公益認定法5条12号,同法施行令6条参照)
とされています。
 大規模な公益財団法人とは,(1)収益合計が1000億円以上,(2)費用および損失の合計が1000億円以上,(3)負債50億円以上,の公益社団法人のことを言います(公益認定法5条12号,同法施行令6条。大規模な一般財団法人とは基準が違うことに注意が必要です。)。

以上をまとめると,このようになります。

Photo_5

一般財団法人・公益財団法人とも①②を選択可能
★ 大規模な一般財団法人で選択可能な機関
■ 大規模な公益財団法人で選択可能な機関

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社団法人の機関設計

一般法人法・公益認定法においては,法人の選択することのできる機関設計が定められています。今回は,社団法人の機関設計について概観してみます。

一般社団法人の機関設計についてのルールは,
①社員および理事を置かなければならない(一般法人法60条1項)
②定款の定めによって,理事会,監事または会計監査人を置くことができる(同法60条2項)
③理事会または会計監査人が設置された一般社団法人は監事も置かなければならない(同法61条)
④理事会を置く場合には代表理事が必要(同法90条2項3号,77条3項参照)
⑤大規模な一般社団法人は,会見監査人を置かなければならない(同法62条)
というものです。
 大規模な一般社団法人とは,最終事業年度の貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が200億円以上の一般社団法人のことを言います(一般法人法2条2号)。

他方,公益社団法人の機関設計についてのルールは,
①公益社団法人には,社員,理事,理事会,監事および代表理事を置かなければならない(一般法人法60条1項,公益認定法5条14号ハ,一般法人法61条・90条2項3号)
③大規模な公益社団法人である場合には,会計監査人を置かなければならない(公益認定法5条12号,同法施行令6条参照)
 です。
 大規模な公益社団法人とは,(1)収益合計が1000億円以上,(2)費用および損失の合計が1000億円以上,(3)負債50億円以上,の公益社団法人のことを言います(公益認定法5条12号,同法施行令6条。大規模な一般社団法人とは基準が違うことに注意が必要です。)。

以上をまとめると,このようになります。

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一般社団法人:①~⑤を選択可能   公益社団法人:④⑤を選択可能
★ 大規模な一般社団法人で選択可能な機関
■ 大規模な公益社団法人で選択可能な機関

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社員総会等における理事の選任方法

 社員総会において,複数の理事を選任する場合において,その選任議案を採決する際には,
 1)理事の選任議案を社員総会または評議員会(以下,「社員総会等」と言います。)で一括で決議する方法,
2)理事の選任議案を各々決議する方法
が考えられます。
 ガバナンスの観点からは,本来,1人1人の理事の選解任ごとに賛成又は反対の表明をすることができるべきであって,全議案についてすべて賛成かすべて反対かという投票を強制することは望ましくなく,候補者ごとに決議する方法を採るような形にするべきです。
 そこで,法人法のもとでは,定款において,社員総会等の議事の運営方法に関する定めとして,「理事の選任議案の決議に際し候補者を一括して採決(決議)すること」を一般的に許容する旨の定めを設けることは許されないものと考えられています(「移行認定のための「定款の変更の案」作成のご案内」10頁注9,同40頁注12)。
 かかる定めが定款に置かれていることは,移行認定・認可における定款審査で不認定・不認可の対象とされていますので注意が必要です。

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