財団の機関

月曜シリーズ 評議員と評議員会 その2 評議員の選任方法

1.定款の必要的記載事項
評議員の選任の方法については、一般法人法には特段の規定が設けられておりません。どのような方法で評議員を選任するかは、公益または一般財団法人において任意に定款で定める必要があります(一般法人法153条1項8号)。

では、どうして定款で定める必要があるのでしょうか。
評議員は、公益ないし一般財団法人の運営が設立者の定めた目的に沿った適正なものとなっているかを監督する重要な立場にあります。従って評議員の選任の方法は、法人運営の基本となる重要な事項であって、設立者の意思に委ねること、すなわち定款において定めることが相当といえます。

2.理事ないし理事会から独立した選任
公益ないし一般財団法人の方で選任方法を任意に選べるとはいえ、理事又は理事会が評議員を選任することは禁止されています。このような方法を定款に定めたとしても法律的には無効です(一般法人法153条3項1号)。これは、被監督者が監督者を選任することとなってしまい、監督が不十分となってしまうおそれがあるからです。評議員の選任は、理事又は理事会から独立している必要があります。そのような趣旨からすれば後で述べます「評議員選定委員会」による選任の方法を選択した場合、同委員の選任においても、委員のすべてを理事又は理事会が特別の要件もなく自由に選任するといった定めを設けることは望ましくありません

3.選任の具体例
理事又は理事会による選任が許されないとした場合、評議員の選任の具体例としては、たとえば、①評議員会の決議による方法、②選任(及び解任)のための任意の機関を設ける方法、③外部の特定のものに委ねる方法などが考えられます。特に公益財団法人においては、内閣府公益認定等委員会は、より理事ないし理事会への監督が実効的に行われるよう(ガバナンスの観点から)、①においては理事の選任と同じように同じ評議員の関係者や同一の団体関係者が3分の1以内におさまるような選任を条件にすること、②においては法人の業務執行理事等から中立的な立場にある者が参加できるようにすることが望ましいとしており、このような方法以外の方法を定款で定めた場合にはその理由の説明を求めると明言しております(「移行認定又は移行認可の申請に当たって定款の変更の案を作成するに際し特に留意すべき事項について」(平成20年10月10日))。これは公益財団法人にふさわしい方法として認定等委員会が例示した方法にすぎず、理事ないし理事会への監督(ガバナンス)が働くのであればこれ以外の方法が許されないという趣旨ではありません。また、一般財団法人においても、規模や法人の性質等に応じてその法人に合った理事または理事会への監督(ガバナンス)は要求されておりますので、実質的に理事ないし理事会の完全なる影響下において評議員が選任されてしまうような選任方法は望ましくないということとなります。

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財団法人における「目的」の変更

 財団法人制度とは,一定の目的のために拠出された財産に対して法人格を与え,権利義務の主体とする制度です。従いまして,定款に示された財団の目的(設立者意思)が財団のすべての活動の準則となり評議員・評議員会も基本的にはこれに従うことになります(一般法人法200条1項ただし書き,153条1項1号ご参照)。この点で財団は定款記載の目的の変更が自由にできる社団とは大きく異なっています。

 もっとも,設立者が“評議員会の決議によって変更できる旨”を定めれば,評議員会が財団の目的を定めることもできます(一般法人法200条2項)。この場合には,社団と財団との違いが不鮮明になってきます。

 現制度は,実体が社団に近くても財団を設立するということが可能な制度となっていますが,財団の目的を評議員会で変更できる旨を定めれば,より社団に近い運営を財団において行うことが可能になります。

 しかし,社員総会による意思決定の煩雑さを避けるために財団法人を選択することは,制度の流用であって,好ましくないといえるでしょう。

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評議員の責任

「評議員」は一般法人法にいう「役員等」には含まれていません(同法198条,111条1項括弧書き)。

しかし,財団と委任関係にあることから(一般法人法172条1項),財団に対して任務懈怠に伴う損害賠償責任を「役員等」と同様に負っています(同法198条,111条1項)。この責任については,総評議員の同意による免除は認められています(同法198条・112条)。

しかし,理事・監事などの「役員等」と異なり,評議員会による責任の一部免除理事会による一部免除責任限定契約の締結一般法人法上認められていません(同法198条・113条・114条・115条)。これはなぜかというと,役員の選解任や定款変更などを行う評議員の職務の性質上,巨額の損害賠償責任を負うケースは考えにくく,総評議員の同意による免除に加えて,これよりも軽い要件による一部免除を認める必要はないと考えられたためと説明されています。

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東北地方太平洋沖地震の影響に伴う社員総会の開催時期について

 東北地方太平洋沖地震の影響に伴う社員総会の開催時期に関して,先日も当ブログでお知らせしました。

 その後,法務省のホームページにおいて,会社法における「定時株主総会の開催時期に関する定款の定めについて」とのお知らせが掲載されています。

 同ページでは,特定の時期に定時株主総会を開催すべき旨の定款の定めがあったとしても,そのような定めは「通常,天災等のような極めて特殊な事情によりその時期に定時株主総会を開催することができない状況が生じた場合にまで形式的・画一的に適用してその時期に定時株主総会を開催しなければならないものとする趣旨ではない」とされています。
 定款に社員総会の開催時期が規定されている場合についても,同様に考えられます。
 上記法務省の見解を前提とした場合には,事業年度の終了後一定の時期に定時社員総会を開催すれば足り,その時期が定款所定の時期よりも後になったとしても,定款に違反することにはならない,と解することができます。

(参考:定時株主総会の開催時期に関する定款の定めについて(法務省サイト内)
http://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/saigai0012.html )

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理事会運営規則を作成することの意味

1.理事会運営規則とは何か
 理事会とは,すべての理事によって組織された会議体で(法人法90条1項),法人の業務の執行の決定や,理事の職務の執行を監督します(同2項)。
 理事会運営規則とは,理事会の運営に関する規則のことをいい,多くの場合理事会が自ら制定します。理事会運営規則を予め定めておくことで,理事会の運営が効率的になり,ひいては法人の業務執行を円滑にすることができます。

2.なぜ理事会運営規則を定めるのか
 では,なぜ理事会運営規則に記載するような内容を,定款に定めないのでしょうか。
確かに,定款において理事会の運営に関する事項を規定しておくことも考えられます。
しかし,定款の変更をするための社員決議は,総社員の半数以上で,総社員の議決権の3分の2(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては,その割合)以上に当たる多数をもって行う必要があり,その要件が厳格です(法人法146条,49条2項4号)。そのため,理事会の運営方法について,全て定款で定めておくと,運営方法の変更を困難にしてしまいます。
そもそも,理事会の運営については,その決定権限が理事会自身にあります。そうであるならば,その運営上のルールも理事会自身が決めることが本来的です。加えて,規定の形にまとめて整理することで,理事会の運営のルールが明確となります。
したがって,理事会の運営については,理事会によって定められた理事会運営規則等に規定することが望ましいものと考えられます。

3.理事会規則の策定
  以上のように,理事会の運営の効率化及び法人の業務執行の円滑化のために,理事会運営規則を定めるのが望ましいでしょう。どのような規定を置くかは,法人の実態にあわせて考える必要があります。
  理事会運営規則の規定等にお悩みの方がいらっしゃいましたら,是非,当事務所までご相談ください。

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監事の地位と責任

 特例民法法人から,公益法人・一般法人に移行する場合に,一見すると,監事の権限や地位に大きな変容がないようにも考えられます。
 しかし,一般法人法においては,監事の権能や義務等について,実は詳細な定めが置かれています。 例えば,一般法人法においては,計算書類及び事業報告等について,監事は監査することとされています(法人法124条1項2項)。この規定自体は,整備法61条1項2項の規定と一見すると似ています。しかし,一般法人法の規定では,監査の内容について「法務省令で定めるところにより」と委任がなされており,具体的な監査の内容等については,法務省令において詳しく定められています(施行規則35条~46条)。
 このように,監事は,法人の役員として,法人の運営が適正に行われるための必要な職責を担います。したがって,監事として選任する者には,一定の能力が必要と解されています。
 具体的には,
 ⅰ 法人の業務運営に一定の知見を有し,業務監査能力を備えている
 ⅱ 会計制度に一定の知見を有し,計算書類の監査能力を備えている。
 ⅲ 関係法令に一定の知見を有し,理事(会)の職務の執行(決定)等が法令に違反しないよう監視できる能力を備えている
ことが望ましいものとされています(FAQⅡ-1-③)。
 また,公益法人においては,監事に経理的基礎・技術的能力がある者を置くことが推奨されています(FAQⅤ-1-②)。
 公益法人・一般法人では,監事は様々な権能を有し,義務を負うことから,適切な能力を有する者が監事になるべく,法人においては監事の選任が重要となります。

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財団法人の機関設計

一般法人法・公益認定法では,法人の選択出来る機関設計が定められています。今回は,財団法人の機関設計について,概観してみます。

一般財団法人については,
①一般財団法人には,評議員,評議員会,理事,理事会および監事を置かなければならない(一般法人法170条1項)
②定款の定めによって,会計監査人を置くことができる(同170条2項)
③大規模一般財団法人は,会計監査人を置かなければならない(同法171条)
とされています。
 大規模な一般財団法人とは,最終事業年度の貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が200億円以上の一般社団法人のことを言います(一般法人法2条3号)。

他方で,公益財団法人については,
①公益財団法人には,評議員,評議員会,理事,理事会,監事および会計監査人を置かなければならない(一般法人法170条1項,公益認定法5条12号)
②大規模な公益財団法人である場合には,会計監査人を置かなければならない(公益認定法5条12号,同法施行令6条参照)
とされています。
 大規模な公益財団法人とは,(1)収益合計が1000億円以上,(2)費用および損失の合計が1000億円以上,(3)負債50億円以上,の公益社団法人のことを言います(公益認定法5条12号,同法施行令6条。大規模な一般財団法人とは基準が違うことに注意が必要です。)。

以上をまとめると,このようになります。

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一般財団法人・公益財団法人とも①②を選択可能
★ 大規模な一般財団法人で選択可能な機関
■ 大規模な公益財団法人で選択可能な機関

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評議員会-テレビ会議や電話会議の利用について

財団法人で必置機関とされている評議員会(法人法117条1項)では,社員総会とは異なり,評議員の議決権の代理行使(50条)や書面による行使(51条)は認められていません。

これは,評議員は,社員とは異なり,法人との委任契約に基づき,善良な管理者の注意をもって,その職務を遂行する者である(172条1項,民法644条)ことによるものです。

では,遠方に所在する等の理由で評議員会の開催場所に赴くことができない評議員の参加方法としては,どのようなものが考えられるでしょうか?

これに対応する手法としては,テレビ会議や電話会議の方法が考えられます。
もっとも,出席者間の協議と意見交換が自由にでき,相手方の反応がよく分かるようになっている場合にこれらの方法が許容されると考えられています。

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社団法人の機関設計

一般法人法・公益認定法においては,法人の選択することのできる機関設計が定められています。今回は,社団法人の機関設計について概観してみます。

一般社団法人の機関設計についてのルールは,
①社員および理事を置かなければならない(一般法人法60条1項)
②定款の定めによって,理事会,監事または会計監査人を置くことができる(同法60条2項)
③理事会または会計監査人が設置された一般社団法人は監事も置かなければならない(同法61条)
④理事会を置く場合には代表理事が必要(同法90条2項3号,77条3項参照)
⑤大規模な一般社団法人は,会見監査人を置かなければならない(同法62条)
というものです。
 大規模な一般社団法人とは,最終事業年度の貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が200億円以上の一般社団法人のことを言います(一般法人法2条2号)。

他方,公益社団法人の機関設計についてのルールは,
①公益社団法人には,社員,理事,理事会,監事および代表理事を置かなければならない(一般法人法60条1項,公益認定法5条14号ハ,一般法人法61条・90条2項3号)
③大規模な公益社団法人である場合には,会計監査人を置かなければならない(公益認定法5条12号,同法施行令6条参照)
 です。
 大規模な公益社団法人とは,(1)収益合計が1000億円以上,(2)費用および損失の合計が1000億円以上,(3)負債50億円以上,の公益社団法人のことを言います(公益認定法5条12号,同法施行令6条。大規模な一般社団法人とは基準が違うことに注意が必要です。)。

以上をまとめると,このようになります。

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一般社団法人:①~⑤を選択可能   公益社団法人:④⑤を選択可能
★ 大規模な一般社団法人で選択可能な機関
■ 大規模な公益社団法人で選択可能な機関

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社員総会等における理事の選任方法

 社員総会において,複数の理事を選任する場合において,その選任議案を採決する際には,
 1)理事の選任議案を社員総会または評議員会(以下,「社員総会等」と言います。)で一括で決議する方法,
2)理事の選任議案を各々決議する方法
が考えられます。
 ガバナンスの観点からは,本来,1人1人の理事の選解任ごとに賛成又は反対の表明をすることができるべきであって,全議案についてすべて賛成かすべて反対かという投票を強制することは望ましくなく,候補者ごとに決議する方法を採るような形にするべきです。
 そこで,法人法のもとでは,定款において,社員総会等の議事の運営方法に関する定めとして,「理事の選任議案の決議に際し候補者を一括して採決(決議)すること」を一般的に許容する旨の定めを設けることは許されないものと考えられています(「移行認定のための「定款の変更の案」作成のご案内」10頁注9,同40頁注12)。
 かかる定めが定款に置かれていることは,移行認定・認可における定款審査で不認定・不認可の対象とされていますので注意が必要です。

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