税法上の取扱い

非営利性の意味

一般法人・公益法人は非営利団体と呼ばれておりますが,非営利性とは一体どういうことなのでしょうか。非営利性が関係する場面としては大きく分けて二つございます。一つは,事業年度ごとの儲けを分配する①剰余金の分配で,もう一つは残余財産を社員で山分けする②残余財産の分配です。営利法人である株式会社では①②ともに法律によって保障されています。しかし一般法人・公益法人では①は法律によって禁止されています(一般法人法11条2項,153条3項2号)。もっとも,②については,公益法人においては法律で禁止されているものの(定款において国・地方公共団体等へ贈与する旨を定めなければ認定されません,公益認定法5条17号18号),一般法人につきましては定款にあらかじめ定めることは禁止されておりますが(一般法人法11条2項,153条3項2号),いざ解散という段階になれば社員総会又は評議員の決議によって分配することは許容されています(一般法人法239条2項)。ただし,法人税法上の概念であるいわゆる「非営利性が徹底された法人」については公益法人と同じ扱いとなっておりますので注意が必要です。以上からいたしますと,非営利性とは①の禁止を基本的には意味し,これを徹底すると②まで禁止されるととらえることができると思います。

そうしますと非営利性の概念にはがあるということになりそうですが,そこには財団・社団のもつ「公益性・公共性」の強さと関係あることが想定されます。

この点につきまして法人への出資の返還につきましてその額について争われました最判平成22年4月8日(判例時報2085号90頁)が参考になります。同判決では,定款で退社時の財産に社員の出資割合を乗じた額の返還を請求できる旨の定めがあった事案において,財産の変動に果たした役割と法人の「公益性・公共性」の観点からしてあまりに多額の返還は権利の濫用として許されないと判示されています。①②が問題になった事案ではないですが,法人の財産を社員に分配することができるか否かという非営利性の問題を考える上で参考になります。

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現下の厳しい経済状況および雇用情勢に対応して税制の整備を図るための所得税法等の一部を改正する法律要綱

先月末,公益法人インフォメーションにて,上記要綱に記載されている公益法人に対する寄付についての税制優遇に関する法改正の紹介がありました(同改正内容の詳細については今週のメルマガに記載予定です)。

またこのほかにも,同要綱で示されている改正内容として,

「二十 所得税法等の一部を改正する法律の一部改正」

特例民法法人から一般社団法人または一般財団法人に移行した一定の退職金共済事業を行う法人については,所得税法上の公共法人等とみなすこととする
(この改正は公布の日以後に移行登記をする特例民法法人について適用)

といった特例民法法人に関する法改正もございます。

要綱は,HP上にあるPDFファイルで確認できますので一度確認してみるのも面白いかと思います。

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公益認定法上の「収益事業等」と法人税法上の「収益事業」

公益認定法上の公益目的事業(公益認定法2条4号)以外の事業(公益認定法上は「収益事業等」とよばれる,5条7号)であっても,法人税法上の「収益事業」(法人税法2条13号,同法施行令5条)にあたらなければ,それに係る所得には課税されません。

ですから,「収益事業等」として申請した事業あるいはこれから申請しようとする事業がおありの場合は,法人税の「収益事業」がどのようなものかを意識して,事業を組み立ててはいかがでしょうか。とくに収益が大きい事業で,少しだけ手を加えれば法人税の「収益事業」からはずれるものがあれば,検討する価値はあると思います。もっとも,事業を計画される際に一番大事なことは,公益目的や共益目的といった法人様の目的を達成する上で必要な事業とはどのようなものかという視点ですので,お忘れのなきようお願いいたします。

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業界団体の公益性認定と税務

いわゆる業界団体が公益認定を受けると,税法上どのようなメリットがあるのでしょうか。

まず,公益法人が享受している収益事業課税についてですが,一般法人に移行した場合であっても,共益型の一般法人として法人税法上の要件を満たせば,特別の手続きを踏むことなく,公益法人同様の収益課税のメリットを享受することができます。つまり課税所得の範囲は,公益法人と変わらないことになります。

ただし,公益法人には収益事業課税にとどまらない税法上のメリットがあります。大きなものでいれば,3つほどありますが,一つは,公益目的事業が収益事業そのものから除外されるということです(法人税法施行令5条2項)。つまり共益的活動が行政庁から公益目的事業として認められればそのまま税法上も収益事業にあたらないとの評価(法人税法上は本来国税庁が収益事業かどうかは評価すべきものであるにもかかわらず)を受けられるということになります。二点目は,公益法人であれば利子等に係る源泉所得税が非課税である点,三点目はみなし寄附金制度の適用がある点です。この二つは現在,すべての特例民法法人であれば享受しておられる税法上のメリットではありますが,一般法人に移行した場合,たとえ非営利型であってもそのメリットを享受することはもはやできなくなってしまいます。

つまり税法の面からみた場合,業界団体が一般法人に移行したとしても収益事業課税といった優遇措置を享受できるため一見公益に移行した場合と変わらないようにみえて,実は,公益法人に移行した方がより多くの優遇を受け続けることができるケースもあるといえるでしょう。この点から考えても,業界団体である法人にとって公益法人への移行を検討する価値はあるといえるでしょう。

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税務から見た公益法人改革(その3)

て、前々回、「税務から見た公益法人改革(その1)」で、公益法人となることのメリットが、専ら寄附の優遇税制にあるのではないかということを指摘した。
その裏づけとして、法人税法上の優遇措置のみでは、公益法人であることのメリットがあまり顕在化しないこともあるという例を示した(「税務から見た公益法人改革(その2)」)。
要するに、法人税法上の優遇措置は、法人の事業と収益の上げ方によってケースバイケースでメリットが出ない場合もあるということであった。

こで、寄附の話に戻って、公益法人における寄附の優遇税制とはいかなるものなのか、それを検討しておくことにする。
この優遇税制は、寄附者が通常課される税金を優遇することによって、寄附者が寄附をしやすくする制度であるから、寄附者がどのように税金上優遇されているのかを見ることにする。
寄附をする側が法人の場合と個人の場合で考え方が異なるので分けて見ていく。

附者が法人の場合、国に対する寄附金以外の一般の寄付金は、一定額を限度としてしか損金に算入できない。
しかし、公益法人に対する寄附金は、損金算入の限度額がかさ上げされている。
大雑把に言うと、その限度額は「資本金の0.25%と、所得金額の5%の平均値」である。
例えば、資本金5億円の企業だと、資本金の0.25%は125万円、所得が1億円だとするとその5%は500万円で、その平均値は、312.5万円となる。
例えばガリガリ君で有名な赤城乳業は、資本金7億7000万円で、売上が250億円ある。
残念ながら所得は今すぐ分からないが、資本金だけで考えてみると、限度額は約190万円あたりということになる。

の限度額であるが、売上の規模を考えると、190万円程度は非常に低い。実は、資本ベースで考えるだけだと、通常の寄附金控除と同じである。今回の優遇税制は所得ベースの上限額の基準を2.5%→5%に引き上げたものだからである。しかし、所得は変動を生じるものであり、安定的な損金算入ができないという問題がある。
多くの法人から少しずつ寄附金を集めるというコンセプトなのだろうが、収入を寄附金のみに頼ることには躊躇せざるをえないだろう。

に、寄附者が個人の場合、公益法人に寄附する場合は国への寄附金と同様の扱いとなり、その年の総所得金額等の40%と、寄附金の年間支出合計額の少ない方から5,000円を引いた額を所得から控除できる。
例えば所得が500万円の人であれば、200万円までは所得から控除できるということになる。
生活に必要な費用も支出しなければならないから、多額の寄附は困難だとは思えるが、優遇枠としてはかなり大きな優遇といえよう。

らに、個人が法人に対して土地などの現物を譲渡際の譲渡所得については原則として所得税を課さないとされている(これにはさらに、一定の要件がある。租税特別措置法40条等参照。)。

て、これらの寄附の税制優遇であるが、寄附者が寄附をするようなインセンティブになっているだろうか。
この判断はそれぞれの法人や個人の判断であるから一概には言えないが、限度額が低すぎるのではないかとの危惧はある。
限度額が低くても、小さな寄附がたくさん集まることが期待できればそれに越したことはないが、今すぐこの日本でそのような「寄附文化」が始まるとも思えない。

状では、公益認定を受けて寄附金の税制優遇を受けなければ、運営に支障が出るという法人はそれほど多くないと考えられるが、そうであれば、公益認定を目指すメリットもそれほど大きくないということもできるのではないだろうか。
現に従来の制度では、税制優遇を受けていたのは特定公益増進法人だけで、その数は1000に満たなかったわけである。
公益認定の維持へのコストが高ければ、それを敢えて死守するほどでもないと考える法人がいてもまったく不思議ではない。

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公益法人の税金(3) <収益事業等の課税>

Q 公益社団法人・公益財団法人が行う公益目的事業以外の事業(公益認定法上の「収益事業等」)に係る所得に対しては,法人税が課税されるという理解でよろしいですか

A 公益社団法人・公益財団法人が行う公益目的事業以外の事業に係る所得であるからといって,そのことのみをもって法人税が課税されるわけではありません。

 公益社団法人・公益財団法人が行う公益目的事業以外の事業に係る所得であっても,その事業が法人税法上の「収益事業」(34事業)に該当しないのであれば法人税は課税されません。

 公益認定法には,「収益事業等」という定義があり,それは,公益目的事業以外の事業をいいます(公益認定法5条7号)。一方,法人税法には「収益事業」という定義があり,それは,以前にご説明したとおり法人税法において限定列挙されている34の事業をいい,また,公益社団法人・公益財団法人が行う「公益目的事業」については,「収益事業」(34事業)に当たる場合であってもこれに含まれないものとされています(法人税法施行令5条)。

 このように,公益認定法上の「収益事業等」と法人税法の「収益事業」とではその内容が異なります

 公益社団法人・公益財団法人が行う収益事業等に係る所得のうち、法人税が課税されるのは,あくまでもその所得に係る事業が、法人税法上の「収益事業」(34事業)に該当する場合に限られていますので,公益社団法人・公益財団法人が行う公益目的事業以外の事業(公益認定法上の「収益事業等」)に係る所得であっても法人税が課税されない場合もあります

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公益法人の税金(2)<優遇措置>

Q 公益社団法人・公益財団法人に対して寄附を行った者についても,何か税制上の優遇措置を受けることができるのですか。

A 公益社団法人・公益財団法人に対して寄附を行った者についても,一定の要件・手続を満たすことにより,下記のような税制上の優遇措置を受けることができます。

1.寄附をした者が法人である場合
  
 公益社団法人・公益財団法人に対する寄付金については,一般の寄付金と別枠で損金算入することが認められています。つまり寄附金の損金算入限度額が大きくなります

2.寄附をした者が個人である場合
 
(1) 所得税
   
① 金銭を公益社団法人・公益財団法人に対して寄附した場合には,その寄附金は寄附金控除(所得控除)の対象となります。

② 不動産などの財産を公益社団法人・公益財団法人に対して寄附(贈与又は遺贈)した場合の譲渡所得等は非課税となります。

  (2) 相続税
    個人(相続人,受遺者)が相続財産を公益社団法人・公益財団法人に対して寄附を行った場合には,当該寄附に係る財産についての相続税は非課税となります。

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公益法人の税金(1)

Q 公益社団法人・公益財団法人に関して,法人税及び所得税についてメリットと考えられる取扱いとしてはどのようなものがあるのですか。 

A 公益社団法人・公益財団法人自らに係る法人税及び所得税の優遇措置としては,下記のようなものがあります。

1.法人税
(1) 課税対象とされる所得は,収益事業に係る所得に対してのみとなります(なお,公益認定法上の公益目的事業は収益事業から除外されています。)。 

(2) 収益事業に属する資産のうちから,自らの公益目的事業に支出した金額は,そ  の収益事業に係る寄附金の額とみなし,一定の金額が収益事業の所得の計算上損金に算入されることになります(損金算入限度額は,所得の50%に相当する金額又は公益法人特別限度額(公益目的事業の実施のために必要な金額)のいずれか大きい方)。

2.所得税
   一定の利子等に係る源泉所得税は非課税とされます。

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