移行認定と移行認可

社団法人の機関設計

一般法人法・公益認定法においては,法人の選択することのできる機関設計が定められています。今回は,社団法人の機関設計について概観してみます。

一般社団法人の機関設計についてのルールは,
①社員および理事を置かなければならない(一般法人法60条1項)
②定款の定めによって,理事会,監事または会計監査人を置くことができる(同法60条2項)
③理事会または会計監査人が設置された一般社団法人は監事も置かなければならない(同法61条)
④理事会を置く場合には代表理事が必要(同法90条2項3号,77条3項参照)
⑤大規模な一般社団法人は,会見監査人を置かなければならない(同法62条)
というものです。
 大規模な一般社団法人とは,最終事業年度の貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が200億円以上の一般社団法人のことを言います(一般法人法2条2号)。

他方,公益社団法人の機関設計についてのルールは,
①公益社団法人には,社員,理事,理事会,監事および代表理事を置かなければならない(一般法人法60条1項,公益認定法5条14号ハ,一般法人法61条・90条2項3号)
③大規模な公益社団法人である場合には,会計監査人を置かなければならない(公益認定法5条12号,同法施行令6条参照)
 です。
 大規模な公益社団法人とは,(1)収益合計が1000億円以上,(2)費用および損失の合計が1000億円以上,(3)負債50億円以上,の公益社団法人のことを言います(公益認定法5条12号,同法施行令6条。大規模な一般社団法人とは基準が違うことに注意が必要です。)。

以上をまとめると,このようになります。

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一般社団法人:①~⑤を選択可能   公益社団法人:④⑤を選択可能
★ 大規模な一般社団法人で選択可能な機関
■ 大規模な公益社団法人で選択可能な機関

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特例民法法人から一般法人への移行 第1回

Q
 私は、現在、特例民法法人の理事をしています。弁護士とも相談した結果、公益法人への移行認定を受けるのは厳しいため、一般法人への移行認可を目指すことに法人内で決定しました。一般法人への移行認可を受けるにあたって特に注意すべきことはなんでしょうか。

A
 一般法人に移行する際に考えるべき点は、以下の3点です。

 1つ目は、一般法人に移行しても収益基盤が安定しているかどうかである。
具体的には①行政の受託事業を引き続き任せてもらえるか、②寄付金が従来どおり集まるか、③会費が従来どおり集まるか、である。

2つ目は、公益目的支出計画を適正かつ確実に実施できるかどうかである。公益目的支出計画を適正かつ確実に実施するためには、ほぼ公益法人の公益目的事業と同様のものが要求されるため、そのような事業を行う覚悟が必要である。

3つ目は、税務関係についての適切な処理を行うことが出来るかどうかである。具体的には、一般法人の中でも税制優遇のある非営利型の法人に移行するかどうか、税務当局との対応を適切に行うことが出来るかどうか、である。

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Q,特例民法法人から移行認定を受けるべきか,一般社団法人への移行認可へ行くべきか,どこから考えればよいのでしょうか<税制上の優遇>(その4/4)

神田「当法人は,どちらかというと共益的な活動をしていますので,施行令でいいますと3条1項2号の方に近いように思います。」

弁護士「そうですね。この規定は,共益活動という点で非営利徹底型とは異なりますが,基本的な視点は,営利性と特定者に利益が流れていないかという点から定められています。」

神田「なるほど,『営利性』と『特定者への利益』いう点から見ると,条文の意味が分かってきました。定款や経費の支弁方法などの内部規程の整備が必要になりそうですね。」

弁護士「そこが重要な点です。貴法人内での意見を集約してまたご相談に見えてください。」

神田「わかりました。一点気になるのですが,この非営利型法人になれるかどうかは,結局どうしたら明らかになるのでしょうか。」

弁護士「そこが複雑なところで,注意をして欲しいところです。非営利型に該当するかは,あくまで法人税法の規定の適用の問題ですので,国や県が認証してくれるものではありません。あくまで,国税当局判断しますので,不服であれば貴法人が国税当局と争うことになります。」

神田「ということは,公益認定との違いはそこが大きいということですか!」

弁護士「そのとおりです。公益認定を受けていれば,当然にその公益目的事業から生じた所得は非課税となるのです。その意味では,公益認定を受けていれば安心できるということになりますから,大きなメリットということができると思います。」

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Q,特例民法法人から移行認定を受けるべきか,一般社団法人への移行認可へ行くべきか,どこから考えればよいのでしょうか<税制上の優遇>(その3/4)

弁護士「それでは,前回の続きで,法人税法上優遇される一般法人についての説明をしましょう。」

神田「お願いします。非営利性が徹底された法人と,共益活動を目的とする法人でしたね。」

弁護士「そのとおりです。まず,非営利が徹底された法人から行きましょうか(法人税法施行令第3条1項)。構成員に利益分配をしないということがまず大きな点です。世の中には,営利企業・団体とそうでない団体の二つの種類の団体があります。この二つの団体の違いは「営利性」の有無にあるわけですが,「営利」といいますのは,「一定のお金を投資してそのリターンを得る」という活動のことをいうのです。そのため,経費を支弁している会員等に収益を還元するような団体は営利団体で,そうでない団体は非営利という区別がまずできるということになります。」

神田「「営利」という意味をあまり考えたことが無かったのですが,利益分配をしている団体ということになるのですね。なるほど。」

弁護士「そうです。ですから,定款で利益分配をする定めがない法人は非営利法人であると見ることができるのです。」

神田「では,2番目の要件(施行令3条1項2号)はどうですか。」

弁護士「この要件は,優遇措置を受けた結果,法人は社会から利益を得ているわけですが,その利益を公益の世界に置いていってくださいね,ということです。公益法人にも同様の規制がかかっていますね。」

神田「それは納得です。施行令3条1項3号は,わかります。4号はどうでしょうか。」

弁護士「施行令3条1項4号は,特定の親族などで,法人が支配され,結局その親族などが利益を受けることが無いようにという趣旨です。親族等が理事をやっていても,まじめにやっていれば特定の者に利益が行くとはすぐにはいえないのですが,一般的に特定の親族で固めたような団体は,特定者の利益のために動きやすいという経験則から定められたものと考えられます。」

神田「なるほど。やはり,利益分配をするかどうかという点が大きいような気がしますね。」

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Q,特例民法法人から移行認定を受けるべきか,一般社団法人への移行認可へ行くべきか,どこから考えればよいのでしょうか<税制上の優遇>(その2/4)

青二田弁護士「では,公益の恩恵を広めるべく,移行認可の際に何がポイントになるか見ていきましょう。」

弁護士「まず,税制上の優遇措置から見ましょう。行政庁の監督が必要になるのは,公益目的事業について税制上の各種優遇措置が採られているからです。ですから,税制上の優遇措置をまず検討することになります。」

神田「税制上の優遇措置は,一般に移行すると受けられなくなるのですか?その点がかなり心配です。」

弁護士「ご存知のとおり,法人税法では,非営利型とそうでない法人という区分がされており,非営利型の法人は収益事業のみについて課税されるという優遇措置が採られています。

神田「非営利型ですか。一般に移行したあとに非営利型にあたるかどうかがまず問題となるわけですね。どのような場合は非営利型になるのでしょうか。」

弁護士「非営利型かどうかは,明確に法令で定められています。法人税法2条9号の2および,同施行令3条で細かい規定があります。細かいようですが,一応確認しておきましょう。非営利型には2つの種類があり,ひとつは非営利が徹底された法人といいまして,以下のような要件があります。

法人税法施行令第3条1項1号
①定款に,剰余金の分配を行わない旨の定めがあること。
②定款に,解散したときはその残余財産が国若しくは地方公共団体又は次に掲げる法人に帰属する旨の定めがあること。
③①,②の定款の定めに反する行為(①,②及び④に掲げる要件のすべてに該当していた期間において、剰余金の分配又は残余財産の分配若しくは引渡し以外の方法(合併による資産の移転を含む。)により特定の個人又は団体に特別の利益を与えることを含む。)を行うことを決定し、又は行つたことがないこと。
④各理事について、当該理事及び当該理事の配偶者又は三親等以内の親族その他の当該理事と財務省令で定める特殊の関係のある者である理事の合計数の理事の総数のうちに占める割合が、三分の一以下であること。

二つ目が,共益活動を目的とする法人といいまして,以下の要件があります。
法人税法施行令第3条1項2号
①  会員の相互の支援、交流、連絡その他の当該会員に共通する利益を図る活動を行うことをその主たる目的としていること。
② 定款(定款に基づく約款その他これに準ずるものを含む。)に、その会員が会費として負担すべき金銭の額の定め又は当該金銭の額を社員総会若しくは評議員会の決議により定める旨の定めがあること。
③ その主たる事業として収益事業を行つていないこと。
④ 定款に特定の個人又は団体に剰余金の分配を受ける権利を与える旨の定めがないこと。
⑤ 定款に解散したときはその残余財産が特定の個人又は団体(国若しくは地方公共団体、公益法人又はその目的と類似の目的を有する他の一般社団法人若しくは一般財団法人を除く。)に帰属する旨の定めがないこと。
⑥ ①~⑤及び⑦に掲げる要件のすべてに該当していた期間において、特定の個人又は団体に剰余金の分配その他の方法(合併による資産の移転を含む。)により特別の利益を与えることを決定し、又は与えたことがないこと。
⑦  各理事について、当該理事及び当該理事の配偶者又は三親等以内の親族その他の当該理事と財務省令で定める特殊の関係のある者である理事の合計数の理事の総数のうちに占める割合が、三分の一以下であること。

神田「うーん,ちょっと難しいですね。」

弁護士「この点に関しては,次回詳しくご説明しましょう。」

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Q,特例民法法人から移行認定を受けるべきか,一般社団法人への移行認可へ行くべきか,どこから考えればよいのでしょうか<はじめに>(その1/4)

神田「はじめまして,こんにちは。社団法人小川町健康協会(特例民法法人)の,理事の神田といいます。宜しくお願いします。」

弁護士青二田「こんにちは。まだ寒いですが,花の便りもちらほらと聞こえる季節になりましたね。ほら,皇居のそばの河津桜はもう満開ですよ。」

神田「そうですか。帰りにちょっと歩いてみようかと思います。」

弁護士「さて,今日は,貴法人が公益認定を目指すべきか,一般法人への移行認可を目指すべきかという点ですね。」

神田「そうなのです。どこから考えたらいいのか分からないところでして・・・」

弁護士「まず,最初に。移行認定と移行認可,この二つは非常に大きな違いがあると考えられているように思います。しかし,両者は仕組みとしては,さほど大きな違いはないということをまず念頭においてください。」

神田「なるほど。でも公益法人と一般法人のどちらになるかで,税法上の違いや,事業の上の自由度の違いがあるということを聞いたことがあります。」

弁護士「確かに違いはあります。具体的に重要なポイントは
 (1)「公益法人」であることそのものに意義がある
 (2)行政庁の監督など事業の自由度の違い
 (3)税法上の優遇措置
の3点です。」

弁護士「『公益認定を取るか,一般法人で行くか』は,どちらがお得なのかという視点ではなく,公益の恩恵を社会に広めるために最も適切な形は何かという点から考えて欲しいということです。」

神田「そう言われるともっともですね。ちょっと耳の痛い話ではありますが・・・。」

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