公益法人と一般法人

一般法人移行後の監督

一般法人に移行した場合,行政庁からの監督は公益法人と比較して緩やかになると考えられています。確かに公益法人が3年に一度程度の立ち入り検査があるのと比較して,移行法人に対しては原則として立入検査は予定されていません。

しかし,公益目的支出計画が継続している限りにおいて,その計画の進捗状況は監督の対象となります。したがって,一定の場合には立入検査が行われます。

公益認定等委員会だよりによれば,以下の場合に立ち入り検査を実施することを明示していますので,少なくともこれらの点には留意が必要となります。

     正当な理由なく公益目的支出計画に従った支出を行わない場合

     各事業年度の支出が公益目的支出計画に定めた支出に比べて著しく少ない場合

     公益目的財産残高と比較して貸借対照表の純資産が著しく少ないにもかかわらず,公益目的支出計画の変更認可を受けずに将来の公益目的支出計画の実施に支障が生じる恐れがある場合

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内部統制(2)~「理事の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制」

1.はじめに
 昨日のブログでも,「一般社団法人の業務の適正を確保するために必要な」体制について触れさせて頂きました。
 このようないわゆる内部統制システムについては,「構築」「整備」「運用」の3つが必要とされています。
 「構築」とは,組織を作り人員を配置しマニュアル等の文書等を準備すること,です。
 「整備」とは,内部統制をデザインし,実施してもらうこと(業務へ適用すること)です。
 「運用」とは,コントロールが実際に機能していることを言います。

2.「理事の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制」
 今日は,「理事の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制」(法人法施行規則14条3号)について触れようと思います。
 同号の体制は,法人の運営のシステム面及び運営のプロセス面の双方において,職務の執行が効率的に行われることを意味します。
 具体的には,理事会運営規則や理事会付議基準を定め,それに従った理事会運営をしていることのほか,定例理事会の開催や,理事の職務分担理事会以外の重要な使用人の出席する会議の開催がなされていること等がこれにあたるものと考えられます。

3.オーダーメイドな体制の整備を!
  具体的にどのような体制を定めるかは,法人の規模や事業内容等によります。したがって,法人毎の実態に合わせた体制の整備をしていく必要があります。単に他の法人を真似するのではなく,オーダーメイドな体制の整備をしていくことが重要です。

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監事の地位と責任

 特例民法法人から,公益法人・一般法人に移行する場合に,一見すると,監事の権限や地位に大きな変容がないようにも考えられます。
 しかし,一般法人法においては,監事の権能や義務等について,実は詳細な定めが置かれています。 例えば,一般法人法においては,計算書類及び事業報告等について,監事は監査することとされています(法人法124条1項2項)。この規定自体は,整備法61条1項2項の規定と一見すると似ています。しかし,一般法人法の規定では,監査の内容について「法務省令で定めるところにより」と委任がなされており,具体的な監査の内容等については,法務省令において詳しく定められています(施行規則35条~46条)。
 このように,監事は,法人の役員として,法人の運営が適正に行われるための必要な職責を担います。したがって,監事として選任する者には,一定の能力が必要と解されています。
 具体的には,
 ⅰ 法人の業務運営に一定の知見を有し,業務監査能力を備えている
 ⅱ 会計制度に一定の知見を有し,計算書類の監査能力を備えている。
 ⅲ 関係法令に一定の知見を有し,理事(会)の職務の執行(決定)等が法令に違反しないよう監視できる能力を備えている
ことが望ましいものとされています(FAQⅡ-1-③)。
 また,公益法人においては,監事に経理的基礎・技術的能力がある者を置くことが推奨されています(FAQⅤ-1-②)。
 公益法人・一般法人では,監事は様々な権能を有し,義務を負うことから,適切な能力を有する者が監事になるべく,法人においては監事の選任が重要となります。

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財団法人の機関設計

一般法人法・公益認定法では,法人の選択出来る機関設計が定められています。今回は,財団法人の機関設計について,概観してみます。

一般財団法人については,
①一般財団法人には,評議員,評議員会,理事,理事会および監事を置かなければならない(一般法人法170条1項)
②定款の定めによって,会計監査人を置くことができる(同170条2項)
③大規模一般財団法人は,会計監査人を置かなければならない(同法171条)
とされています。
 大規模な一般財団法人とは,最終事業年度の貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が200億円以上の一般社団法人のことを言います(一般法人法2条3号)。

他方で,公益財団法人については,
①公益財団法人には,評議員,評議員会,理事,理事会,監事および会計監査人を置かなければならない(一般法人法170条1項,公益認定法5条12号)
②大規模な公益財団法人である場合には,会計監査人を置かなければならない(公益認定法5条12号,同法施行令6条参照)
とされています。
 大規模な公益財団法人とは,(1)収益合計が1000億円以上,(2)費用および損失の合計が1000億円以上,(3)負債50億円以上,の公益社団法人のことを言います(公益認定法5条12号,同法施行令6条。大規模な一般財団法人とは基準が違うことに注意が必要です。)。

以上をまとめると,このようになります。

Photo_5

一般財団法人・公益財団法人とも①②を選択可能
★ 大規模な一般財団法人で選択可能な機関
■ 大規模な公益財団法人で選択可能な機関

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社団法人の機関設計

一般法人法・公益認定法においては,法人の選択することのできる機関設計が定められています。今回は,社団法人の機関設計について概観してみます。

一般社団法人の機関設計についてのルールは,
①社員および理事を置かなければならない(一般法人法60条1項)
②定款の定めによって,理事会,監事または会計監査人を置くことができる(同法60条2項)
③理事会または会計監査人が設置された一般社団法人は監事も置かなければならない(同法61条)
④理事会を置く場合には代表理事が必要(同法90条2項3号,77条3項参照)
⑤大規模な一般社団法人は,会見監査人を置かなければならない(同法62条)
というものです。
 大規模な一般社団法人とは,最終事業年度の貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が200億円以上の一般社団法人のことを言います(一般法人法2条2号)。

他方,公益社団法人の機関設計についてのルールは,
①公益社団法人には,社員,理事,理事会,監事および代表理事を置かなければならない(一般法人法60条1項,公益認定法5条14号ハ,一般法人法61条・90条2項3号)
③大規模な公益社団法人である場合には,会計監査人を置かなければならない(公益認定法5条12号,同法施行令6条参照)
 です。
 大規模な公益社団法人とは,(1)収益合計が1000億円以上,(2)費用および損失の合計が1000億円以上,(3)負債50億円以上,の公益社団法人のことを言います(公益認定法5条12号,同法施行令6条。大規模な一般社団法人とは基準が違うことに注意が必要です。)。

以上をまとめると,このようになります。

Photo_3

一般社団法人:①~⑤を選択可能   公益社団法人:④⑤を選択可能
★ 大規模な一般社団法人で選択可能な機関
■ 大規模な公益社団法人で選択可能な機関

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社員総会等における理事の選任方法

 社員総会において,複数の理事を選任する場合において,その選任議案を採決する際には,
 1)理事の選任議案を社員総会または評議員会(以下,「社員総会等」と言います。)で一括で決議する方法,
2)理事の選任議案を各々決議する方法
が考えられます。
 ガバナンスの観点からは,本来,1人1人の理事の選解任ごとに賛成又は反対の表明をすることができるべきであって,全議案についてすべて賛成かすべて反対かという投票を強制することは望ましくなく,候補者ごとに決議する方法を採るような形にするべきです。
 そこで,法人法のもとでは,定款において,社員総会等の議事の運営方法に関する定めとして,「理事の選任議案の決議に際し候補者を一括して採決(決議)すること」を一般的に許容する旨の定めを設けることは許されないものと考えられています(「移行認定のための「定款の変更の案」作成のご案内」10頁注9,同40頁注12)。
 かかる定めが定款に置かれていることは,移行認定・認可における定款審査で不認定・不認可の対象とされていますので注意が必要です。

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特例民法法人から一般法人への移行 第9回

Q
私は、特例民法法人の理事をしているものです。
当法人は、ノルマ額の算定と事業仕分けを行った結果、公益目的支出計画の実施期間が100年になってしまいました。
このような長期の公益目的支出計画の実施期間においても、公益目的支出計画の適正性と確実性は認められるのでしょうか。

A
御法人は、公益目的支出計画の実施期間が100年と長期に渡ってしまったということですが、実施期間が130年、180年という例も出ているように、公益目的支出計画が100年を超える長期に渡るからといって、そのことのみでは適正性と確実性を満たさないということはありません。

適正性は、異常なほど過少に実施事業等を行っている場合以外は、認められると考えて良いでしょう。また、公益目的支出計画が、ノルマ額をペナルティのようなものと考えて、内部留保するため経過した期間と同じ期間をかけて、公益目的支出計画を実施しなければならないと考えている法人もいらっしゃいますが、上記のように異常なほど過少に実施事業等を行っていなければ良いのです。

 公益目的支出計画は、適正であることを前提に確実に実施できるものでなければならない。確実性とは、一言で言えば、財政基盤の安定です。

 例えば、実施事業等を積極的に行い、毎年2000万円の支出を行ったとします。しかし、法人の規模にもよりますが、実施事業等以外の収支も含めた全体の収支が-1000万円出会った場合は、法人としての基盤が危うく、公益目的支出計画を行うことが確実であるとはいえなくなってしまうのです。

 公益目的支出計画が確実であると認められるためには、法人全体の収支をプラスに持っていくことが重要であるといえるでしょう

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特例民法法人から一般法人への移行 第8回

Q
 今日は、当法人の事業仕分けを行って頂ける予定なので、先生宜しくお願いいたします。

当法人の現在の事業は以下の4つです。

  ① 調査研究事業
 ② セミナー事業
 ③ 研修事業
 ④ 出版事業

A
 事業仕分けを行うにあたってのポイントは以下の2点である。

  ア 収支相償ではなく赤字でなければならない。
  イ 継続事業を主務官庁が認めてくれるかどうか。

  
 
 そこで、上記2点について検討した結果は以下のとおりです。
                   収支      継続事業性
  ① 調査研究事業  -100           ○
 ② セミナー事業     +50         ○
 ③ 研修事業       -50           ○
 ④ 出版事業     +200           ×

 この場合に実施事業等とすることが出来るのは、①②③です。
 また、②については実施事業等とすることはできるが、収支が+50であるため、実施事業等に入れるべきではないです。
 したがって、①③を公益目的支出計画の実施事業等とする事業仕分けを行うことになります。
 なお、法人全体の収支は、+100となるので公益目的支出計画を実行しても法人の財産がなくなってしまう計算ではないです。

 参考:①-100②+50③-50+200=100

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特例民法法人から一般法人への移行 第7回

Q
 私は、現在、一般法人への移行認可を考えている特例民法法人の理事をしています。
 公益目的支出計画策定にあたって、実施事業等の選択をしなければならないと思うのですが、どこから手をつけたらよいか教えて頂けないでしょうか。
 ちなみに、現在の事業は以下の4つです。


 ① 調査研究事業
 ② セミナー事業
 ③ 研修事業
 ④ 出版事業

A
 公益目的支出計画とは、大まかに言えば、ノルマ額分について、実施事業等によって、実際に、支出しなければならないというものです。この場合の支出とは、赤字分のことを言います。
 なお、実施事業等とは以下の3つです。
 A 公益目的事業(整備法119条2項1号イ)
 B 特定寄付(整備法119条2項1号ロ)
 C 継続事業(整備法119条2項1号ハ)

 そうすると、公益目的支出計画に記載する事業は赤字でなければならないため、赤字の事業を選別しなければなりません。
また、上記の①公益目的事業か、③継続事業にあたらなければならないため、この点の精査も必要となるでしょう。
 したがって、公益目的支出計画の策定にあたっても、事業仕分けが必要となるでしょう

詳しくは、以下の書籍を読んで頂きたい。

「公益認定に迷わないためのガイドライン 」
鳥飼重和 /編著
商事法務

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特例民法法人から一般法人への移行 第6回

Q
 私は、現在、一般法人への移行認可を考えている特例民法法人の理事をしています。
 前回は、土地を例として、時価評価の方法の選択について教えて頂きました。しかし、私どもの法人を調査したところ、株式が出てきました。この場合の株式の評価方法の選択のポイントについても教えて頂けないでしょうか。

A
 では、株式の評価方法の選択のポイントについてお話します。

内閣府のガイドラインでは、以下の3パターンに分けられています。

 ①上場株式
 ②非上場株式で時価評価が可能なもの
 ③非上場株式で時価評価が困難なもの

①上場株式は、市場価額で時価評価が行われるため、株価が下落しているタイミングを見計らって申請を行うのが良いでしょう。

②非上場株式で時価評価が可能なものについては、時価評価を独自に行う必要があります。株式評価は、公認会計士、税理士、不動産鑑定士等が行う、いわゆる業際分野の仕事であるため適切な専門家を選択する必要があります。その際に、タイミングを計る点と、価額を出来る限り下げる合理的な方法のアドバイスをもらうのが良いでしょう。

③非上場株式で時価評価が困難なものについては、取得価額又は帳簿価額とするのが原則です。株価が上昇している場合は、この方法でも良いでしょう。しかし、株価が下がっているのに取得価額・帳簿価額で算定されるのは賢い選択とは言えません。このような場合は、売却等の方法により損出しの作業を行うのが良いでしょう。

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