経過措置

移行の登記を条件とした停止条件付役員選任決議と定款案への記載

最初の代表理事につきましては,定款の附則にのせることで選任が可能とされております(FAQ問Ⅱ―3-②)。また,理事・監事につきましても,最初の理事・監事として定款の附則に記入する扱いが事実上認められております。それでは定款の附則に最初の理事・監事を載せた場合,さらに移行の登記を停止条件とした停止条件付役員選任決議(FAQ問Ⅱ―4-⑦)をする必要があるのでしょうか?この点につきましては,理論的にはより決議要件の重い定款の承認決議の中に含まれておりますので,不要とも考えられます。しかしながら,実務的に重要な点はこちら側の法律解釈というよりもむしろ定款の提出で役員の登記を登記所が受け付けてくれるか,というところにあります。ですからもしも登記所の取り扱いがはっきりしないのであれば,定款案承認の際に停止条件付の選任決議も行い,選任の結果を定款の附則に記入した旨の議事録を作成しておくべきでしょう。

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監事の地位と責任

 特例民法法人から,公益法人・一般法人に移行する場合に,一見すると,監事の権限や地位に大きな変容がないようにも考えられます。
 しかし,一般法人法においては,監事の権能や義務等について,実は詳細な定めが置かれています。 例えば,一般法人法においては,計算書類及び事業報告等について,監事は監査することとされています(法人法124条1項2項)。この規定自体は,整備法61条1項2項の規定と一見すると似ています。しかし,一般法人法の規定では,監査の内容について「法務省令で定めるところにより」と委任がなされており,具体的な監査の内容等については,法務省令において詳しく定められています(施行規則35条~46条)。
 このように,監事は,法人の役員として,法人の運営が適正に行われるための必要な職責を担います。したがって,監事として選任する者には,一定の能力が必要と解されています。
 具体的には,
 ⅰ 法人の業務運営に一定の知見を有し,業務監査能力を備えている
 ⅱ 会計制度に一定の知見を有し,計算書類の監査能力を備えている。
 ⅲ 関係法令に一定の知見を有し,理事(会)の職務の執行(決定)等が法令に違反しないよう監視できる能力を備えている
ことが望ましいものとされています(FAQⅡ-1-③)。
 また,公益法人においては,監事に経理的基礎・技術的能力がある者を置くことが推奨されています(FAQⅤ-1-②)。
 公益法人・一般法人では,監事は様々な権能を有し,義務を負うことから,適切な能力を有する者が監事になるべく,法人においては監事の選任が重要となります。

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解散事由の経過措置(公益財団法人又は一般財団法人に移行する場合)

一般法人法上,一般財団法人は,ある事業年度及びその翌事業年度に係る貸借対照表上の純資産額がいずれも3百万円未満となった場合,当該翌事業年度に関する定時評議員会の終結の時に解散すると定められています(一般法人法202条2項)。

もっとも,特例財団法人が公益財団法人や一般財団法人へ移行する場合には,経過措置が設けられており(整備法112条2項,122条2項),整備法106条1項の設立の登記をした日の属する事業年度から,一般法人法202条2項の規定が適用されることになります。

このため,たとえば,平成23年3月31日現在及び平成24年3月31日現在の貸借対照表の純資産が3百万円未満であっても,平成23年4月1日に整備法106条1項の設立の登記をした場合,経過措置により平成24年3月31日現在の貸借対照表から一般法人法202条2項が適用されるため,平成25年3月31日現在の貸借対照表の純資産が3百万円未満でなければ,解散事由には該当しないことになります。

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法改正と経過規定

 今回は,森林組合の理事の森林組合法改正前の行為につき,経過規定に着目した上,法改正によって可能となった代表訴訟により責任を問えることが認められた事例(*)をご紹介いたします。

1 事案
 本件は,A森林組合の参事であったBが,在任中にA森林組合の所得を隠したことで,A森林組合の平成元年度~6年度の簿外資産に対して延滞税及び重加算税が追徴課税されたことにつき,A森林組合の組合員であるXが,当該期間にA森林組合の理事であったYらに対し,森林組合法54条の準用する旧商法267条(株主代表訴訟)の規定により,債務不履行に基づく損害賠償を請求した事案です。
 Yらは,森林組合の理事に対する代表訴訟の制度は森林組合法及び森林組合合併助成法の一部を改正する法律(平成9年法律第30号)により認められた制度であるから,代表訴訟によって同法が施行された平成9年4月1日より前に役員であったYらの責任を追及することはできないと主張しました。

2 裁判所の判断
 裁判所は,改正後の森林組合法の規定は原則として同法施行前に生じた事項にも適用されることとされているから(森林組合法及び森林組合合併助成法の一部を改正する法律附則2条1項本文),Yらの上記主張を採用することはできないとし,代表訴訟を適法と認めました

3 ポイント
 法改正によって改正前に形成された権利義務やそれらを実現するための手続がどのような影響を受けるかについて,経過規定が置かれている場合があります。
 法人制度改革に際しても,法人法附則2において,法人法の規定を原則として法人法施行前に生じた事項にも適用する旨が規定されています。
 なお,特例民法法人については,法人法で新設された代表訴訟の規定の適用が排除される(整備法75条,法人法278条2項等)など,整備法によって多くの面で従前の扱いを継続する経過措置がとられています。

* 青森地裁 平成18年2月7日 平成16年(ワ)第271号

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移行法人の清算時の残余財産の帰属の制限

(1)
 一般法人法239条には、残余財産の帰属は、定款に定めるところによること(同条1項)、定款の定めによっても帰属先が確定しない場合は、清算法人の社員総会又は評議員会の決議によって定めること(同条2項)、それでもなお社員総会等で合意に至らなかった場合は、残余財産は国庫に帰属することが規定されています(同条3項)。

(2)
 しかしながら、移行法人が清算した場合に、残余財産の帰属先を自由に決められるとすると、本来公益目的のために使用又は処分されるべき財産が清算によって構成員等に分配されるおそれがあります。
そこで、これを防止し、移移行法人に対する財産の規制の趣旨を徹底させるために、移行法人の清算時の残余財産については、一般法人法239条の規定に関わらず、帰属先を制限する措置が設けられています。
すなわち、移行法人が清算をする場合において、公益目的財産残額があるときは、その移行法人の残余財産のうち公益目的財産残額に相当する額の財産(その残余財産の額がその公益目的財産残額を下回っているときは、その残余財産)については、その移行法人は、その移行法人の残余財産の額が確定した後、その残余財産の引渡しをするまでの間に認可行政庁による残余財産の処分の承認を受け、公益認定法第5条第17号に規定する者に帰属させなければなりません(整備法130条、整備規則48条1項)。

(3)
 残余財産の処分の承認を受けようとする移行法人は、様式第十一号の申請書に所定の書類を添付して、認可行政庁に提出しなければなりません(整備規則48条2項)。
合併存続特例民法法人は、登記後遅滞なく、登記事項証明書を添付して合併後旧主務官庁及び合併前旧主務官庁に届け出る必要があります(整備法72条2項)。

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特例民法法人の合併~合併効力発生時期等

(1)
債権者保護手続きの完了日から2週間以内に、主たる事務所の所在地において変更(合併存続特例民法法人)、解散(合併消滅特例民法法人)の登記を行います(整備法72条1項、法人法306条)。
合併存続特例民法法人は、吸収合併の登記の日に、合併消滅特例民法法人の権利義務を承継することになります(合併の効力発生)。

(2)
合併存続特例民法法人は、登記後遅滞なく、登記事項証明書を添付して合併後旧主務官庁及び合併前旧主務官庁に届け出る必要があります(整備法72条2項)。

(3)
合併存続特例民法法人は、吸収合併の登記の日後遅滞なく、合併により合併存続特例民法法人が承継した合併消滅特例民法法人の権利義務その他の合併に関する事項について書面又は電磁的記録を作成し、吸収合併の登記の日から6か月間、書面又は電磁的記録をその主たる事務所に備え置き、社員、評議員、債権者に対する閲覧等を実施する必要があります(整備法73条、法人法253条)。
   [合併関連書類の内容]
①吸収合併の登記をした日
②合併消滅特例民法法人、合併存続特例民法法人における債権者保護手続の経過
③合併証明特例民法法人から合併存続特例民法法人が承継した重要な権利義務に関する事項
④合併消滅特例民法法人が事前開示事項として開示していた事項
⑤その他、合併無効の訴えが提起された場合にあってはその事項など、合併に関する重要な事項

(4)
特例民法法人が合併をした場合、合併の登記をする日の属する事業年度(末日)の計算書類等の作成がなければ、移行の認定又は認可の申請をすることができませんので、留意が必要です。

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特例民法法人の合併~債権者の異議に関する特則

(1)
合併消滅特例民法法人の債権者は、合併消滅特例民法法人に対し、合併について異議を述べることができます(整備法70条1項)。

(2)
合併消滅特例民法法人は、合併の認可の通知のあった日から2週間以内に財産目録及び貸借対照表(財産目録等といいます。)を作成し、事務局に備え置かなければなりません(整備法70条2項)。

(3)
債権者は、広告の日又は催告の日のいずれか早い日から債権者が異議を述べることができる期間の満了の日までの間、合併消滅特例民法法人に対して、その業務時間内は、採算目録等の写しの閲覧などを請求することができます(整備法70条3項)。
合併消滅特例民法法人は、合併の認可の通知のあった日から2週間以内に、次の事項を官報に広告し、かつ、知れている債権者には、各別にこれを催告しなければなりません(整備法70条4項)。
  ア 合併をする旨
  イ 合併存続特例民法法人の名称及び住所
  ウ 債権者が一定の期間内(2か月を下ることはできません。)に異議を述べることができる旨

(4)
債権者が(3)ウの期間内に異議を述べなかったときは、その債権者は、その合併について承認をしたものとみなします(整備法70条5項)。

(5)
債権者が(3)ウの期間内に異議を述べたときは、合併消滅特例民法法人は、その債権者に対し弁済もしくは相当の担保を提供し又はその債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社等に相当の財産を信託しなければなりません(整備法70条6項)。
ただし、その合併をしてもその債権者を害するおそれがないときは、この限りではありません(同法同条項但書)。

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特例民法法人の合併~合併の認可

(1) 認可の申請
  特例民法法人の合併は、合併後存続する特例民法法人(以下「合併存続特例民法法人」といいます。)の合併後旧主務官庁の認可を受けなければ、その効力を生じません(整備法69条1項)。
  認可の申請は、合併をする特例民法法人が、以下の申請書をそれぞれ合併後旧主務官庁に提出することにより行われます(整備法69条2項)。

①申請をする特例民法法人の代表者の氏名
②合併をする特例民法法人の名称及び主たる事務所の所在地
③合併存続特例民法法人が名称又は主たる事務所の所在場所を変更するにあたっては、変更後のこれらの事項

ここで、合併をする特例民法法人の合併前旧主務官庁が同一である場合には、合併をする特例民法法人が共同して申請することができます(整備法施行令1条1項)。申請を共同してする場合を除き、申請書には、合併の相手方となる特例民法法人の合併前旧主務官庁の名称を記載しなければなりません(整備法施行令1条2項)。

(2) 添付書類
  申請書に添付する書類は、以下の書類です(整備法69条3項、整備法施行令2条)。

①吸収合併契約書
②吸収合併契約の承認を受けたことを証する書面
③合併をする特例民法法人の定款
④合併後存続特例民法法人の定款の案
⑤施行令5条1項各号に掲げる額及び同条2項各号に掲げる額を記載した書類
→合併の直前、直後(直前=合併の登記の前日、直後=合併の登記日)を予測し、同日に貸借対照表を作成するとするならば当該貸借対照表の資産や負債の部に計上すべき額を記載した書面 
⑥合併後の事業活動の内容を記載した書類
⑦合併後の役員名簿

(3) 合併前後の旧主務官庁が異なる場合
  合併前旧主務官庁と合併後旧主務官庁とが異なる場合においては、合併の認可申請書は、合併前旧主務官庁を経由して提出することになります(整備法69条4項)。

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特例民法法人の合併~合併契約の承認に関する特則

特例民法法人の合併は「吸収合併」に限られ、「新設合併」はできません。

合併認可の申請は、合併後旧主務官庁(合併存続特例民法法人の合併後の業務の監督を行う旧主務官庁)に対して行います。

整備法67条には、「特例民法法人の吸収合併契約の承認に関する特則」が規定されています。

1項
合併をする特例社団法人は、「特例民法法人の合併の認可」の申請前に、社員総会の決議によって、吸収合併契約の承認を受けなればなりません。
この場合、社員総会の決議は、総社員の4分の3(定款変更の要件についてこれと異なる割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に当たる多数をもって行います。

2項
合併をする特例財団法人(評議員設置特例財団法人を除きます。)は、合併の認可の申請前に、定款に「定款の変更に関する定め」がある場合にはその定め(旧主務官庁の認可を要する旨の定めがあるときは、これを除きます。)の例により、定款に「定款の変更に関する定め」がない場合は旧主務官庁の承認を受けて理事の定める手続きにより、吸収合併契約の承認を受けなければなりません。

3項
合併をする評議員設置特例財団法人は、合併の認可の申請前に、評議員会の決議によって、吸収合併契約の承認を受けなければなりません。
この場合、評議員会の決議は、議決に加わることができる評議員の3分の2(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に当たる多数をもって行わなければなりません。

これらは、合併の認可の申請前に必要とされている事項です。特例民法法人の合併に伴い定款の変更をする場合においては、旧主務官庁の認可を要しません(整備法68条)。

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特例民法法人の合併~合併の概要

 従来の旧民法においては公益法人の合併に関する規定がなかったため、民法に従って合併を行うことができませんでした。
しかし、新法においては合併の規定が法定化されたため、合併を行うことが可能となりました。

合併法人制度創設のメリットには、通常の解散と異なり、合併消滅特例民法法人(合併により消滅する特例民法法人)に関する清算手続きを行う必要はない点と、合併消滅特例法人が保有する権利義務(財産・契約等)は、合併存続特例民法法人(合併後存続する特例民法法人)に包括的に承継される点とがあります。

特例民法法人の合併は「吸収合併」に限られ、「新設合併」はできません。
また、合併の相手先は、他の特例民法法人に限られ、一般社団法人・一般財団法人、公益社団法人・公益財団法人と合併することはできません。
社団法人同士、財団法人同士の他、社団法人と財団法人との合併は可能です。

合併認可の申請は、合併後旧主務官庁(合併存続特例民法法人の合併後の業務の監督を行う旧主務官庁)に対して行います。
合併前旧主務官庁(合併をする特例民法法人の業務の監督を行う旧主務官庁)と合併後旧主務官庁が異なる場合には、申請は、合併前旧主務官庁を経由して行います。

合併手続きの流れとしては、
①吸収合併契約の締結→②吸収合併契約関連書類の備置き、閲覧→③吸収合併契約の締結→④合併の申請→⑤合併後旧主務官庁による認可→⑥債権者保護手続き→⑦変更の登記(合併存続特例法人の場合)または解散の登記(合併消滅特例法人の場合)→⑧届出→⑨合併関連書類の備置き、閲覧、
となります。

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