規程

役員に対する報酬について

 今日はエイプリルフールですが、当ブログではこのような日でも嘘偽りのない確かな情報を提供致します。

内閣府大臣官房公益法人行政担当室が出した「特例民法法人における無報酬役員に対する謝金等の調査結果について」(平成22年11月16日付)という資料において、無報酬の役員に対する謝金の取り扱いが問題とされています。新しく公益法人に移行された法人に対する立入検査でも、謝金についてヒアリングがなされていることもあるようです。

 そこで、今回は、役員に対する報酬と謝金の関係について、お話したいと思います。

公益法人においては、報酬が不当に高額であってはなりません(認定法5条13号)。そのため、支給の基準を定めていることが公益認定の基準とされています(認定法5条13号)。役員の報酬を無報酬とすることは問題ありませんが、その場合、報酬等の支給基準においてその旨を定める必要があります。

 しかし、謝金という形で役員等に金銭を支払うと実質的に役員に報酬が支払われることになる場合が考えられます。例えば、法人主催のセミナー講師代金を報酬としても、他の団体との共催セミナーの講師料金について報酬とせず、別途謝金として支払をしていた場合、上記のような事態が生じえます。場合によっては、不当に高額な報酬の支払いを制限する認定法5条13号の潜脱が生じる可能性も出てきかねません。

 そこで、謝金について役員報酬規程とは別途規程を設け潜脱的に役員に不当な報酬が支払われないようにするのが望ましいでしょう。

 ちなみに、上記の内閣府公益法人行政担当室発表資料によると、「定款又は寄付行為において無報酬としている役員については、実費弁償のみとし、それ以外のいかなる名目による支払も厳に慎まれたいこと、また、役員に対価を支払う必要がある場合には、定款、寄付行為等においてはその根拠規定を整備して適切に支給することについて指導監督するよう要請」が出されています。

役員の報酬というテーマ一つをとってみても、法律と矛盾のないよう、細やかな定款、規程等の整備が必要となります。

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社員総会の議事録

1.議事録作成の必要性と機能
  一般法人・公益法人に移行後の社団法人は,社員総会で議事を行った際に,議事録を作成する必要があります(法人法57条)。
社員総会の議事録とは,社員総会の議事の経過の要領や議決内容を記録した書面です。
このような議事録が作成されるのは,後で社員総会の決議の効力が争われた場合の重要な証拠となるからです。また,社員総会議事録は,一定の場合には,登記申請における添付書類ともなります。

2.議事録への署名又は記名押印の要否
  ところで,社員総会議事録について,出席理事等の署名又は記名押印が必要なのでしょうか。
  社員総会議事録の署名・押印の要否及び主体については,理事会の議事録の場合と異なり(法人法95条3項参照),規定がありません。
  これは,社員総会議事録に対する出席理事等による署名又は記名押印がなされたとしても,理事会議事録の場合とは異なり,法的な意味がない(法人法95条5項参照)ことから,規定が置かれなかったものと考えられます。
すなわち,社員総会議事録に署名や記名押印がなされるのは,その議事録の真正性を担保するためであるところ,社員総会議事録に署名や記名押印をすることで,偽造や真正性の問題が解消されるかは,理事会の場合とは異なり,程度問題にすぎないからです。
  したがって,社員総会議事録について,出席理事等の署名又は記名押印は,法律上は必要でないと考えられます。

3.新法下での対応
  このように,社員総会に出席した理事が記名押印しなかったとしても,議事録の効力には影響はないと考えられます。
  しかし,社員総会議事録が,社員総会の議事の経過の要領や議決内容を立証する証拠として重要であり,その保全の必要性が認められることからすれば,社員総会議事録に署名または記名押印がなされることが(特に法人の運営者である理事の方にとって),望ましいものといえます。
そこで,社団法人の定款において「〔社員総会の〕議長及び出席した理事は、前項の議事録に記名押印する。」などと規定し,議長や理事の記名押印を確保することが考えられます。

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監事の地位と責任

 特例民法法人から,公益法人・一般法人に移行する場合に,一見すると,監事の権限や地位に大きな変容がないようにも考えられます。
 しかし,一般法人法においては,監事の権能や義務等について,実は詳細な定めが置かれています。 例えば,一般法人法においては,計算書類及び事業報告等について,監事は監査することとされています(法人法124条1項2項)。この規定自体は,整備法61条1項2項の規定と一見すると似ています。しかし,一般法人法の規定では,監査の内容について「法務省令で定めるところにより」と委任がなされており,具体的な監査の内容等については,法務省令において詳しく定められています(施行規則35条~46条)。
 このように,監事は,法人の役員として,法人の運営が適正に行われるための必要な職責を担います。したがって,監事として選任する者には,一定の能力が必要と解されています。
 具体的には,
 ⅰ 法人の業務運営に一定の知見を有し,業務監査能力を備えている
 ⅱ 会計制度に一定の知見を有し,計算書類の監査能力を備えている。
 ⅲ 関係法令に一定の知見を有し,理事(会)の職務の執行(決定)等が法令に違反しないよう監視できる能力を備えている
ことが望ましいものとされています(FAQⅡ-1-③)。
 また,公益法人においては,監事に経理的基礎・技術的能力がある者を置くことが推奨されています(FAQⅤ-1-②)。
 公益法人・一般法人では,監事は様々な権能を有し,義務を負うことから,適切な能力を有する者が監事になるべく,法人においては監事の選任が重要となります。

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求められるガバナンス―職務分掌規程の整備から

  公益法人制度改革が進む中で、公益法人・一般法人にもガバナンスが必要と言われています。しかし、公益法人・一般法人に求められるガバナンスに関する具体的な内容は何かについては、イメージがなかなか湧きにくいところがあるかと思います。そこで、公益法人・一般法人に求められるガバナンスの1つである規程の整備、本日は、職務分掌規程について簡単に述べさせていただきます。

 ガバナンスとは、ルールを遵守しながら、法人の事業を運営することです。法人ごとに事業内容が違うのでガバナンスとして求められる規程の整備は、法人ごとに異なります。しかし、共通する部分も多くあります。その1つが職務分掌規程です。
 こんなケースをイメージしてみて下さい。事業の運営が失敗してしまった場合、また、従業員が事業の運営に関する事業資金を横領した場合です。事業は、常にうまくいくとは限りません。また、従業員に魔が差さないとは限りません。多くの法人では、これらは起こり得るケースと言えるものでしょう。
  これらのケースで、職務分掌規程は、どのように機能するのでしょうか。前者であれば、職務分掌規程がなければ、各理事の担当する事業は何かが不明になり、責任の所在がわかりません。そのため、全理事が責任追及される可能性があります。ここからは、理事の責任を限定し、理事を守る機能を果たすことがわかります。また、後者であれば、職務分掌規程がなければ、従業員の行為が横領にあたるか否かの立証が難しくなり、ひいて横領した従業員の責任追及ができなくなる可能性があります。そのため、理事の管理監督責任の問題が生じ得ます。ここでは、理事の管理監督責任を全うする機能を果たすことがわかります。
  たかが、職務分掌規程。されど、職務分掌規程。これらの問題が実際に生じた場合、その問題解決のための前提として、ガバナンスの1つである職務分掌規程は必須です。これを具備していないケースでは、理事は、責任追及される可能性すらあり得ます。ガバナンスとは、その場限りのアドホックな対応から、ルールに基づく運営に変えていくことを指します。ルールに基づくことで、理事にとっても、従業員にとっても、誰にとっても、公平・公正・透明な対応が可能になるのです。そのことが公益法人制度改革の中で求められているガバナンスの一内容と言えるでしょう。

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「不当に高額」な報酬

公益法人認定法施行規則第3条によれば,公益法人の役員等の報酬等の基準として,①理事等の勤務形態に応じた報酬等の区分,②その額の算定方法,③支給の方法,④支給の形態について定める必要があるとされています。
このうち②報酬等の額については不当に高額なものとならないようなものでなくてはなりません(認定法5条13号)。
では,どのような定め方をすれば「不当に高額」とならないのでしょうか?
「不当に高額」に当たるかは,民間事業者の役員の報酬等及び従業員の給与,当該法人の経理の状況その他の事情を考慮して判断するとされており,どうすれば「不当に高額」とならないかは一概にいえません。
もっとも,人事院の発表する国家公務員の俸給表は,民間における賃金等を考慮して定められた(国家公務員法64条2項)ものであり,一つの参考になると考えられます。

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役員に対する報酬支給基準について

 公益法人の理事等の報酬等が、民間事業者の役員の報酬等や公益法人の経理の状況に照らし、不当に高額な場合、法人の非営利性を潜脱するおそれがあります。そのため、理事等に対する報酬等が不当に高額なものとならないよう、支給の基準を定めていることが公益認定の基準とされています(認定法5条13号)。
 ただ、報酬等の支給が義務づけられているわけではないので、無報酬でも問題ありません。その場合、報酬等の支給基準において無報酬である旨を定めることになります。
 定款で「原則」無報酬であるとしながらも、常勤役員等に対して支給することも「できる」と規定する場合には、支給する場合の基準について定めておくことが必要です。定款で支給ができる旨の規定はあるものの、当面の間は役員報酬を支給する予定がない場合は、支給基準において無報酬である旨を定めたうえ、支給する場合の基準を省略することも可能です。将来支給することとなった場合、支給基準の改訂が必要になります。

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〔鳥飼総合法律事務所〕公益法人・一般法人向け無料セミナーを開催いたします(ガバナンス視点の申請)

 12月7日から東京・埼玉の各会場でガバナンス視点の申請をテーマに無料セミナーを順次開催いたします。(12月7日東京会場は満員のため申込受付を終了いたしました)

 新公益法人制度は、公益法人・一般法人が真に社会から期待され尊敬される存在となるチャンスです。
 移行申請に潜んでいるガバナンス不在による様々な法的リスクを認定・認可後に顕在化させないために申請段階から意識をしておかなければならないこととは何かについて、わかりやすくご説明いたします。

 ご興味をお持ちの方は、鳥飼総合法律事務所公益法人移行申請ホームページからお申込みください。
http://kouekihoujin-santa.jp/contact/

【テーマ】

『 移行認定・認可申請にも必要なガバナンス視点 』
~申請後に泣かないようにするために~

【セミナー内容(予定)】

1 社会から尊敬される公益法人・一般法人への道
    監督型運営から自律的経営へ
2 移行申請に潜むガバナンス不在による“見えないリスク”
(1)不認定・不認可のリスク
(2)認定・認可後の取消等のリスク
(3)課税庁による更正処分等のリスク
(4)理事等の役員の法的責任・代表訴訟による責任追及のリスク
3 手遅れにならないため、移行申請前から準備が必要なガバナンス
4 手遅れにならないための移行申請の進め方とは?

【特典】

セミナー当日、各参加団体(法人・事務所等)ごとに、本2冊進呈いたします。

新公益法人制度における公益認定と役員の責任 
    鳥飼総合法律事務所所長弁護士 鳥飼重和編著  商事法務

公益認定に迷わないためのガイドライン
    鳥飼総合法律事務所所長弁護士 鳥飼重和編著  商事法務

【日程・会場】

東 京 会 場
2010年12月7日(火) (12月7日は満員のため申込受付を終了いたしました)
 13:30~16:30(13:15受付開始)アルカディア市ヶ谷 7階
2011年1月13日(木)
 13:30~16:30(13:15受付開始)アルカディア市ヶ谷 4階

埼 玉 会 場 (埼玉りそな銀行共催)
2010年12月14日(火)
 13:30~16:30(13:15受付開始)埼玉りそな銀行さいたま営業部(本店) 2階大会議室
2011年1月14日(金)
 13:30~16:30(13:15受付開始)埼玉りそな銀行さいたま営業部(本店) 2階大会議室

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公益法人・一般法人の規程作成~理事会規程「重要な財産の処分・譲受け」

1 代表理事に委ねられない?

 一般法人法においては、理事会は業務執行につき決定する権限を有し、その中でも、「重要な財産の処分・譲受け」については、定款の定めによっても代表理事等の下部機関に委任することはできません(同法90条4項1号)。
 つまり、理事全員の協議により適切な意思決定がなされることが期待されている事項であるということです。
 なお、重要な財産の処分にとどまらず、事業譲渡に当たる場合は、社員総会の特別決議が必要となります(同法49条、147条)。

2 「重要な財産の処分・譲受け」って何?

 では、どんな取引が「重要な財産の処分・譲受け」にあたるのでしょうか。
会社法での解釈を参考にすると、「重要な財産の処分・譲受け」に当たるか否かは、
①当該財産の価額、
②その会社の総資産に占める割合、
③当該財産の保有目的、
④処分行為の態様
⑤会社における従来の取扱い

等の事情を総合的に考慮して判断するものとされています(最判平成6・1・20)。
 つまり、その法人によって何が「重要な財産の処分・譲受け」かは変わってくるということです。

 とはいっても、イメージしにくいと思います。
 参考までに具体例を簡単に紹介しますと、これまで、会社の総資産額の約1.6%にあたる帳簿価額の株式を譲渡した事例や、10隻程度の船舶を保有する海運会社が1隻の船舶を譲渡した事例で、「重要な財産の処分・譲受け」と判断されました。

 なお、売却だけが「処分」ではありません。貸与や担保の供与、債権の放棄、債権の免除、出資なども「処分」に含まれます。
「譲受け」に該当するのは、設備投資の場合などです。

3 理事会規程に基準額を定めたほうがよいのはなぜか?

 ここで、着目したいのは、上記の基準の中に「⑤会社における従来の取扱い」が含まれている点です。
 つまり、あらかじめ理事会規程等により、一定の金額を超える財産の処分は理事会決議によるものと定め、これに従い運用していれば、仮に訴訟になった場合でも、その基準が尊重される可能性が高いということがいえます。

 したがって、上記の判例や専門家の意見を参考に、理事会規程等に
「資産の処分 1件につき当該資産の評価額○○○万円以上」
など、貸与なども含めた各取引につき理事会決議が必要となる基準額を定めておき、それに従い運用するのがよいでしょう。

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