ガバナンス

理事改選後の理事会招集権者

定款において理事会の招集権者を代表理事とされている場合,理事全員が任期満了で改選され代表理事がいなくなってしまったときには理事会の招集はどなたか行えばよいのでしょうか。

この点につきましては,代表理事が理事の任期満了によって辞められた場合は,新たに選定された代表理事が就任するまで、なお代表理事としての権利義務を有することになりますので(一般法人法79条1項,197条),辞められた元代表理事が定款に基づいて招集することで問題はございません。

もっとも社員総会ないし評議員会で新理事が選出された後,そのまま全員の同意を得て招集手続なしに理事会を開催し(一般法人法94条2項,197条)新代表理事を選任することも可能ですので,そのような手続きを踏めば招集権者が誰かの心配をする必要はなくなることになります。

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東京都暴力団排除条例

「東京都暴力団排除条例」が、平成23年3月18日に公布されました(平成23年10月1日施行)。同条例にいう「事業者」は“事業(その準備行為を含む。以下同じ。)を行う法人その他の団体又は事業を行う場合における個人をいう。”と営利性と関係なく単に“法人”と定義されておりますので(同条例第2条七),東京都におけます公益法人・一般法人の方や特例民法法人の方も「事業者」として同条例の規制対象に含まれることになります。
同条例では暴力団との関係で穏便に問題の解決を図ろうとする一般の事業者が行いそうな利益供与(たとえば,みかじめ料の支払い事務所の提供)も禁止されており(同条例第24条3項)、行うと勧告・公表・命令・刑事罰といった制裁措置が発動されることが予定されております(同条例第5章)。詳しくは警視庁の下記のサイトに“条例の概要【PDF】”として内容が紹介されておりますので,是非ご参考ください。 www.keishicho.metro.tokyo.jp/sotai/haijo_seitei.htm

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基本財産の処分の承認機関

基本財産の処分の承認をどの機関が行うかにつきましては一般法人法にも直接の規定はございません。ただし,基本財産につきましては「一般財団法人の目的である事業を行うことを妨げることとなる処分」は許されておらず(一般法人法172条2項),「基本財産の滅失その他の事由による一般財団法人の目的である事業の成功の不能」は財団法人の解散事由となっております(一般法人法202条1項3号)。内閣府において作成されました『移行認定のための「定款の変更の案」作成の案内』(以下,「内閣府定款案」という。)では,このような取扱いに鑑みて,処分要件を厳格化,すなわち理事会及び評議員会双方の承認を必要とするという規定例を掲げているのだと思われます(「内閣府定款案」公益財団法人 第5条2項ご参照)。

「内閣府提案案」はあくまでモデル定款ですので,これに必ず従わなければならないというわけではございませんが,財団の命運を決めてしまいかねない重要な処分であるだけに,このような規定ぶりは適切と考えます。

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評議員の責任

「評議員」は一般法人法にいう「役員等」には含まれていません(同法198条,111条1項括弧書き)。

しかし,財団と委任関係にあることから(一般法人法172条1項),財団に対して任務懈怠に伴う損害賠償責任を「役員等」と同様に負っています(同法198条,111条1項)。この責任については,総評議員の同意による免除は認められています(同法198条・112条)。

しかし,理事・監事などの「役員等」と異なり,評議員会による責任の一部免除理事会による一部免除責任限定契約の締結一般法人法上認められていません(同法198条・113条・114条・115条)。これはなぜかというと,役員の選解任や定款変更などを行う評議員の職務の性質上,巨額の損害賠償責任を負うケースは考えにくく,総評議員の同意による免除に加えて,これよりも軽い要件による一部免除を認める必要はないと考えられたためと説明されています。

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求められるガバナンス~専務理事が事務局長を兼務することについて

 企業統治と訳されることが多いガバナンスとは、法人の業務が適法妥当に執行されていることを確認する体制と理解することができます。そこでは、個別の事業が適法妥当に執行されていることも重要な要素ではありますが、個別の事業が適法妥当に執行されていることを確認すること自体も大きな意味を持ちます。そして、個別の事業が適法妥当に執行されていることを監督するのは、理事になります。
 
 そこで、ガバナンスについて考えるとき、誰がガバナンスを実行するのかは大事なポイントとなるのです。まず、会社法についてみてみると、私的自治の妥当する私法の法律関係において、誰を取締役にするかは自由であるところ、会社法331条3項で、「委員会設置会社の取締役は、当該委員会設置会社の支配人その他の使用人を兼ねることができない。」と規定して、実効的なガバナンスが構築されるように明示しています。執行と監督を分離する趣旨が現れております。
 
 他方で、公益法人制度改革では、会社法並のガバナンスが導入されたと言われていますが、公益法人の理事が使用人との兼任を禁止される規定はありません。辛うじて、一般法人法65条2項で、「監事は、一般社団法人又はその子法人の理事又は使用人を兼ねることができない。」と規定するのみです。
 
 このように公益法人制度改革の中においては、副題の専務理事が事務局長を兼務することを明示には禁止しておらず、適法と判断されることになります。しかしながら、執行と監督の分離という趣旨に鑑みるならば,使用人兼務理事がその立場を濫用できないような体制作りを心がけるべきでしょう。

 

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求められるガバナンス-鳥飼総合法律事務所の企業法務が役立つ!

 公益法人制度改革の中で、公益法人には会社法並みのガバナンスが求められていると聞くことがあります。この「会社法並み」とは、どのようなことなのか。会社法におけるガバナンスの知識が公益法人のそれにどのように活用されるのか。そんな一例として、2010年11月17日の本ブログ記事でご紹介させていただきました。
 そこでは、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第90条4項1号「重要な財産の処分及び譲受け」を考えるに際して、会社法362条4項1号「重要な財産の処分及び譲受け」の解釈及び解釈に関する判例が役立つことを指摘させていただきました。具体的な内容に関しては、2010年11月17日の記事をご覧ください。

 さて、本日、ここで考えてほしいのは、公益法人の皆様が参考にすべきは、このような会社法に関する知見だけでしょうか。答えは、否です。
 どんな法人にでも共通するところで例を挙げれば、コンプライアンスや内部統制が適切になされているでしょうか。また、労働法を含む労務管理の分野については、どうでしょうか。少し具体的に言えば、従業員を雇用するときの契約関係は、適法妥当なものでしょうか。残業に関する取扱いは、しっかりできているでしょうか。女性従業員の職場環境に関する配慮はされているでしょうか。一昨年、騒がれた裁判員裁判の制度への対応は決められているでしょうか。
 最後の点を敷衍すれば、一昨年、裁判員裁判が導入されました。企業の従業員が裁判員として選任される可能性が生じました。裁判員に選任された場合の従業員の給料の取扱い、有給の取扱い等について、多くの企業は対応を決めました。さて、御法人は対応済みでしょうか。
 さらに、個別の法人に関して言えば、法人の設立の根拠となる法律や業法など配慮すべき法律は少なくありません。十分に対応することができているでしょうか。

 株式会社類似のガバナンスが求められている公益法人では、今後、このような法的な問題について、しっかりとした対応が必要になります。

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内部統制(4)~「使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制」

1.はじめに

今回は,法人の業務の適正を確保するために必要とされる「使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制」(法人法施行規則14条4号)についてお伝えします。

2.内容

ここにいう体制とは,法人の事業活動について適用される法令の割り出し,発生する可能性のある法令・定款違反行為の把握やその防止のための体制をいい,コンプライアンス担当の職員・部署等の設置や,倫理規程・各種業務に関する規程などによる行動規範の制定,内部通報体制の整備などが該当します。

3.役員責任への影響

内部統制に当たって使用人の職務執行の適法性を確保することは極めて重要であり,また役員責任の存否の判断にも大きく影響してきます。

部署の設置や規程の整備も重要ですが,単に規程を作って終わりではなく,継続的に法令や職務の執行状況をチェックしていくことも重要です。

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求められるガバナンス~立入検査に関する5つのポイント

さて、本日は、立入検査の際に事前に確認すべき5つのポイントを書きます。立入検査は、3年に1度は、必ず各法人に対して実施されることになっているわけですが、立入検査を受ける法人側としては、何に注意をすればいいでしょうか。
 立入検査については、多様なことが色々な場所で解説されています。しかし、立入検査に関する多くの説明は、注意すべきポイントが多すぎて実行することが難しいものになっていると思います。本当に重要で、本当に事前に準備しなければならないものは何なのか。そのような大事なものにポイントを絞ってポイントを列挙させてもらいました。

立入検査における守るべき5つのポイント
 定款・事業計画書・財務書類等法人の基礎となる書類に誤記、虚偽がない
 公益を増進する事業の実態があること
 内部統制(職務分掌規定・職務権限規程等)がしっかりとしていること
 それに基づく運営がされていること
 その運営の記録が書類として整っていること

法人運営において、最も基本的な上記事項について、今一度、整備されているかを確認してみてください。

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求められるガバナンス~内部通報制度から考える1

2011年3月28日に「求められるガバナンス~不正を発見する体制」の記事で、

不正を発見する体制の整備が求められていると書かせて頂きました。

その1つが内部通報制度です。

では、内部通報制度とは、どんな制度なのか。

簡単に言えば、

企業内の不正、不祥事等に関して、従業員等が特定の窓口に通報することができるようにする制度のことです。


 
法律には内容が似ている「公益通報者保護法」があります。

この法律によると、一定の場合、法人内の不祥事などを告発した従業員は、

その告発を原因とする法人の不利益処分から保護されることになるという内容です。

そのため、この法律は、「労働者の保護」のための法律と言っていいものなのです。


これに対して、内部通報制度の主眼は、

企業内部の膿を企業自身の手で出すことにおかれているのが通常です。

つまり、従業員等が法人内の不正等を発見した場合に、

従業員等が上司や顧問先の法律事務所等に通報することで、

不正が早期に発見・改善されるので、法人の内部での対応を可能とするということなのです。

そのため、この制度は、法人の「不正の早期発見・改善」が目的と言っていいものです。

このような内部通報制度があれば、不祥事にならないで済むことも出てくることでしょう。。

例えば、上司がセクハラをしていたケースを考えてみると、

マスコミに情報が流れれば、週刊誌に報じられるかもしれません。

行政に通報されれば、立入検査の際に追及されるかもしれません。

このようなときに、内部通報制度は機能します。

つまり、被害者の従業員もしくはその被害を目撃した従業員等から、

一定の事実に関する報告があることで、法人として対応することができるようになるのです。

このような内部通報制度の整備は、

法が求めている業務の適正を確保するための整備の1つと言えます(一般法人法90条4項、同規則14条参照)。

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求められるガバナンス~内部通報制度から考える2

2011年4月4日に「求められるガバナンス~内部通報制度から考える1」の記事で、内部通報制度について書かせて頂きました。

そこでは、内部通報制度がどんな制度で、なぜ必要かを書きました。

しかし、制度の存在を知っていても、制度が機能しなければ意味がありません。

いかにして、しっかりと機能する内部通報制度を構築するかが担当者にとっては大事なポイントになります。

そこで、構築の際の1つのアドバイスをさせて頂きます。


まず、公益通報者保護法を受けて策定されたものではあるのですが、

内閣府から「公益通報者保護法に関する民間事業者向けガイドライン」が発表されています。

極めてコンパクトに本制度構築の要諦を示しています。参考にしてみて下さい。

しかし、本ガイドラインは、

あくまでも労働者保護のための公益通報者保護制度の観点より示されたものであるため、

法人内の不正の早期発見・改善の観点からは、さらに検討を要する点があります。

例えば、

通報者氏名の秘匿を法人が約束すると、法人の調査の方法を事実上制約してしまい、

早期発見・改善につなげられないケースもあり得ます。

真に実効的な内部通報システムとはどのようなものかを上記の視点に基づいて、洗い直す必要があるのです。

株式会社と同等のレベルのガバナンスを求める今回の公益法人制度改革においては、

このような株式会社におけるコンプライアンス体制構築も大変に参考になるものだと思います。

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